「うみのむこうは」五味太郎絵もお話もともに手がけている絵本作家さんの中でも、五味太郎さんほど(絵は勿論ですが)お話が素晴らしいと感じる作家さんはなかなか思い浮かびません。読むといつも、五味さんは詩人だなあと感嘆してしまいます。クリスマス絵本の「もみの木そのみをかざりなさい」そしてこの「うみのむこうは」はその中でも特に秀逸なものではないでしょうか。ひとりの子どもが砂浜で海を眺め、その向こうには何があるか想像するだけのお話なのですが、変わらないその子どもの背中と、水平線の上に次々に展開される想像の世界に、寂しさにも似た憧れが呼び起こされます。何よりも心に響くのは五味さんの短く連なった言葉たちです。子どもの想像のつぶやきが、韻を踏みながら、まるで海にほうられるよう...29Jan2016news日々の絵本
「ひみつのかくればしょ」レイニイ=ベネット Rainey Bennettこちらの「ひみつのかくればしょ」の作者であるレイニイ=ベネットは1907年、アメリカ、インディアナ州生まれ画家で、30代から50代にかけて世界各地で壁画家として精力的に活動しました。メトロポリタン美術館をはじめアメリカの美術館ではその作品は多数収蔵され、受賞作も多数あるようです。児童書の制作は1950年代の終わりごろから始め、この「ひみつのかくればしょ」は1960年の作品です。壁画家ということも勿論影響しているのでしょう、その絵は画面いっぱいに広がって描かれ、淡い色彩と繊細な線で、ゆっくりとしたリズムを刻んでいるように感じます。お話も自身が手がけております。ちいさなカバのヒッポはみんなにとても可愛がられているのですが、そのためにいつ...28Jan2016news日々の絵本
1月28日新入荷商品2日空いてしまいました。申し訳ございませんでした。さて、本日新入荷商品では当店では開店当初からお薦めしている絵本作家である、ナンシー・エコーム・バーカートの代表作でもある「白雪姫と七人の小人たち」が入ってきました。この絵本は本当にすばらしいので、いつも在庫していたいのですが、中々入荷できないので、気になる方はお早めにどうぞ。この度入荷したものは状態も良いほうです。他にも絵本、児童書多数入荷しております。「雪の女王」バーナデット・ワッツ「プレゼント」ボブ・ギル「トコトコさんぽ」長野ヒデ子 スズキコージ「ぼくのふとんはうみでできている」ミロコマチコ「星どろぼう」アーノルド・ローベル「ヨッケリなしをとっといで」フェリックス・ホフマン他にも...28Jan2016入荷情報
「さよならさんかく」安野光雅 Anno Mitsumasaこちらは安野光雅さんの『さよならさんかく』です。タイトルの響きをどこかで聞いたことのある方も多くいらっしゃるかと思います。「さよならさんかく またきてしかく」という語感の良い言葉ではじまり、しかくはとうふ、とうふはしろい…というように連想ゲームのようにつながっていく、これは昔から全国で親しまれてきたわらべうたで、その歌にあわせて安野さんが絵を描いてできたのがこちらの一冊です。どこか懐かしい落ち着いた色味で統一された絵はもちろん、最後の「きえるはにんじゃ」までいったら本をひっくり返してふりだしに戻れるようになっていたり、見返しには安野さんの故郷、島根県津和野の染め紙を使っていたりと、 遊び心とこだわりがいっぱいです。そんなひとつひとつ...27Jan2016news日々の絵本
「かいじゅうたちのいるところ」モーリス・センダック 「WHERE THE WILD THINGS ARE」MAURICE SENDAK子供の頃に読んだ時はマックスが悪い子で、こんな悪い子、嫌だなあって思ってあんまり好きになれませんでした。それでも何となく好きだったのは、マックスが部屋に閉じ込められていると部屋の中ににょきにょきと木が生えてきて、ジャングルになる場面。いつもの風景が、ふわりと、違う世界へ混じっていく感触。ちょっと怖くて、ちょっとワクワクして、好きでした。こういうモチーフはよくあるけれど、思い返してみれば小さい頃からずっと惹かれていた気がします。例えば「おしいれのぼうけん」で、閉じ込められた押入れから高速道路へ続いていくところ、例えば「ナルニア物語」で隠れたタンスから森へ続いていくところ。異世界への冒険の香り、幼い頃には、それは不思議な旅へと誘う甘い香...26Jan2016newsBlog文学
「ぼくだよぼくだよ」きくちちき Kikuchi Chikiきくちちきさんの「ぼくだよぼくだよ」です。きくちちきさんは商業出版(?)デビュー作である2012年の作品「しろねこくろねこ」(ブラティスラヴァ世界絵本原画展 金のりんご賞 受賞作品)の当時から絵本愛好家たちの間では特に評価が高い印象でしたが、最近ではその絵本の魅力に魅了される人も更に増え、押しも押されぬ人気絵本作家のひとりとなっていると思います。こちら2013年の作品「ぼくだよぼくだよ」では、二頭のライオンとヒョウが、どちらのほうがすごいか、とじゃれ合いながら遊んでいるお話です。水彩と墨で大胆に描かれるその絵は、爆発するように激しく、しかし時には夕陽を眺めるように静かに、それはまるで宇宙のはじまりを見ているかのように、途方も無いスケ...25Jan2016news日々の絵本
1月25日新入荷商品本日新入荷商品では五味太郎さんの名作絵本「うみのむこうは」瀬川康男さんと松谷みよ子さんの「さるかに」ワイズ・ブラウンがお話を手がけている「コウノトリのおはなし」他にも長新太さんの絵本、ミレルの絵本などいろいろ入っております。読み物では須賀敦子さんの著作や「ピエロの学校」落合恵子さん 作 杉浦範茂 絵「花森安治伝」津野海太郎なども入荷しております。それではどうぞよろしくお願いいたします。25Jan2016入荷情報
「Rackham's Fairy Tale Coloring Book」先日テレビでも見かけましたが、新刊書店へ行くと「大人のぬり絵」コーナーが大きく設置されていて、こんなにも流行しているのだなあ、と感心してしまいました。ちょうど当店にも、当店らしいぬり絵絵本の在庫がありましたので、今日はこちらを紹介させて頂きます。こちらはアーサー・ラッカムのイラストに色を塗れるぬり絵絵本「Rackham’s Fairy Tale Coloring Book」です。アーサー・ラッカムについては説明は不要でしょうか。19世紀末の挿絵黄金時代と呼ばれるイギリスの挿絵画家を代表する作家です。その繊細で華麗な世界観で絶大な人気を博し、後世へと与えた影響も計り知れません。このぬり絵絵本はラッカムがイラストを手掛けたグリムの17の...22Jan2016news日々の絵本
1月22日新入荷商品本日は洋書ペーパーバック絵本が入荷しております。どれもお求めやすい価格ですので、是非ご覧ください。「THE SURPRISE PARTY」Pat Hutchins「The Three Billy-Goats Gruff」SUSAN BLAIR「Crow Boy」Taro Yashima「PLAY WITH ME」MARIE HALL ETSなどなどです。「Pantomime Toy Books Cinderella(オズボーン・コレクション)」こちらはほるぷ出版より復刻されたオズボーンコレクションのシリーズの中の一冊です。シンプルな仕掛け絵本となっています。読み物では平出隆さんの著作「猫の客」「鳥を探しに」など入っております。それで...22Jan2016入荷情報
「THE Z WAS ZAPPED」CHRIS VAN ALLSBURG日本では村上春樹さんの翻訳で多くの作品が出版されているのでそのイメージで覚えている方も多いのではないでしょうか。こちらはクリス・ヴァン・オールズバーグの「THE Z WAS ZAPPED」です。この絵本はまだ翻訳されていないかと思います。「ハリス・バーディック」などでも見られますが、オールズバーグ作品の特徴のひとつとして、その本を書いている者(語っている者)に仕掛けを施すということがあるかと思います。読んだことがある方にはすぐにわかると思うのですが、読んだことがない方にはちょっとわかりにくいでしょうか。この作品では、始めの扉ページにTHE ALPHABET THEATRE(アルファベット劇場)THE Z WAS ZAPPED(やられ...21Jan2016news日々の絵本
1月21日新入荷商品本日の入荷商品では以前紹介しましたオードリー・フォンドゥカヴの紹介しました絵本とは違う絵本「わたしのロバと王女」、クリスマスは過ぎてしまいましたがスズキコージさんのクリスマス絵本「クリスマスプレゼントン」など入ってきました。他にも「A Child's First Picture Dictionary」LILIAN MOORE「あかちゃんだったころ」ウィルビーク・メイヤー「ありこのおつかい」石井桃子 中川宗弥「こびとのくつや」バーナデット・ワッツなどなど、他にも入ってきております。読み物では「他者の苦痛へのまなざし」スーザン・ソンタグ「武田泰淳全集」なども入っております。どうぞよろしくお願いいたします。21Jan2016入荷情報
「ヨリンデとヨリンゲル」ベルナデッテ・ワッツ 絵 若木ひとみ 訳 Bernadette Watts絵本を読んでいると時折訪れる感覚があります。それはまるで小さな子供に戻って、夜の世界という未知に怯えているような、それと同時にワクワクしているような、そんな不思議な感覚です。個人的にその感覚を一番与えてくれるのが、バーナデット・ワッツ(ベルナデッテ・ワッツ)の絵本です。こちらはワッツの「ヨリンデとヨリンゲル」お話はグリム童話です。二人の愛しあう若い若者が、森の中で迷い、魔女の住む城へと近づいてしまったために魔法をかけられて、娘ヨリンデは小鳥に変えられ、城に閉じ込められてしまいます。ヨリンゲルは絶望し嘆きますが、夢で見た魔法を解く花を探し出し、ヨリンデを救い出します。グリム童話に隠された、人間の根源的な部分、野生的な部分を、ワッツは本...20Jan2016news日々の絵本