2016.08

少し前になりますが、今月７日までちひろ美術館で行われていた「村上春樹とイラストレーター展」に行ってきました。佐々木マキさん、大橋歩さん、和田誠さん、安西水丸さん、四人のイラストレーターが一人の小説家とどのような共作を行ってきたのかがわかり、また四人それぞれの魅力がとてもよく表れた大変興味深い展示でした。特に、安西水丸さんが亡くなってしまってから、その意匠を継いで取り組んだ和田誠さんの仕事についての展示には、胸が熱くなるものがありました。そして、原画を見るのは三度目でしたが、何度見ても佐々木マキさんの絵を前にすると不思議な気持ちになります。以前にも書いたかもしれませんが、絵本作家の原画展へ行くと、印刷された時に原画の雰囲気がそのまま表...

こちらの古い絵本はElse Wenz-Viëtor（エルゼ・ヴェンツ・ヴィエトール）の「Hochzeit im Walde（森の結婚式）」という絵本です。作者のエルゼ・ヴェンツ・ヴィエトールの絵本は「クリスマスのてんし」が日本語にも翻訳されており、昨年の12月にはこちらのinstagramでも紹介させて頂いた本ですね。日本では余り知られておりませんが、彼女は1920〜30年代にはドイツで最もよく知られた絵本作家の一人で、2010年代の今でも、彼女の絵本はドイツ本国では復刻出版され続け、今でもなお、愛され続けている作家のようです。こちらの絵本「Hochzeit im Walde」も何度も重版された作品で、当店のものは1949年のもので...

毎日暑い日が続きぼうしの欠かせない季節ですが、先日入荷した商品にこんな不思議なぼうしの絵本がありました。今日はそちらをご紹介します。お話はこんなシーンから始まります。「むかし、ぼうしがひとつあった。黒いりっぱなシルク・ハット。サテンみたいにぴかぴかで、ピンクの絹のリボンがついていた。」不穏な空の色に、ふわりと舞う立派なシルクハット。どこかマグリットの絵にもイメージが重なりますが、なんだか不思議なことが起こりそうな、そんな気持ちを喚起させる絵です。人物が描かれていなくてもこのタッチで作者がわかる方もたくさんいらっしゃるかもしれませんね、日本でも「すてきな三にんぐみ」などで愛されているトミー・ウンゲラーです。さて、このシルクハット、もと...

先日、現在川村記念美術館にて開催されているサイ・トゥオンブリーの写真展へ行ってまいりました。昨年の原美術館での展覧会に続き、こうしてトゥオンブリーの展覧会を国内で見ることが出来るのを彼の作品のファンの一人としてとても嬉しく思います。今回の展覧会はその名の通り、トゥオンブリーの写真作品を中心にした展覧会で、1950年代、まだブラック・マウンテン・カレッジの学生だった頃のものから、画家として成功を収めた後の80年代以降そして晩年の00年代後半、そして彼が亡くなった年、2011年までのものまでと、その創作のはじまりから終わりまで、トゥオンブリーの創作の重要なもののひとつであった写真作品を網羅的に、とは言わないまでもざっと概観することが出来...

昨日更新しました本の中から、こちらはオーストリア、ウィーンより買い付けてきました「インゼル文庫」というドイツ語の小さな本のシリーズです。日本で言う新書サイズよりも一回り大きいほどのサイズでしょうか。ご覧頂けますと分かるように、その簡潔ながらも美しい装丁に魅了される人も多く、日本でもとても人気で古書店よりもアンティークショップでのほうが見かけることが多いでしょうか。1910年代よりスタートしたこの文庫は元々は日本で言う岩波文庫のような古典の文庫シリーズだったのですが、1930年代より植物図鑑、鳥類図鑑などのタイトルも出始めました。こうしたイラストを多く掲載したタイトルはその装丁の美しさとも相まって人気を博し、以後このインゼル文庫のイメ...

いつも当店のサイトやinstagramを見ていただきありがとうございます。本日、チェコそしてオーストリアで買い付けてきた絵本をオンラインストアにupいたしました！チェコの絵本ではヨゼフ・ラダ、ルヂェク・マニャーセク、ルドミラ・イジンツォヴァーなどの作家の作品が、オーストリアの本ではインゼル文庫やエルゼ・ヴェンツ・ヴィエトールの絵本などがあります。オーストリアの絵本はチェコやハンガリーの絵本と比べると日本ではあまり紹介されていないために目にする機会も少ないかと思います。数は余り多くはないのですが、当店の紹介している本をいつも見て頂いているお客様には喜んで頂けるものがきっとあると思いますので、是非オンラインストアで見て頂きたいです。買い...

この絵本はEleanor Mureによる「 The Tree Bears」です。このお話は日本語では「三匹のくま」としてバスネツォフ版やポール・ガルドン版または片山健さんやあべ弘士さんのもので親しまれているでしょうか。元々はイギリスの古い童話なのですが、トルストイによる翻案版で広く世界に知られるようにもなりました。さてこのムーアによる絵本なのですが、この絵本が作られたのはなんと1831年。トルストイが翻案するよりもずっと前、三びきのくま絵本として現存するものでは最も古いものだそうです。ムーアは4歳の甥の誕生日のお祝いに、プレゼントとして、この手描きの絵本を作りました。彼女は絵本作家や画家として成功していたわけでもなく、その後成功する...

昨日は鳥の絵本で今日は猫の絵本です。石津ちひろさんとささめやゆきさんによる「あしたうちにねこがくるの」 タイトルの通り、明日家に猫がやって来る、そんな家の子どもの、どんな猫が来るのか、不安な気持ちと楽しい気持ちの入り混じった楽しい絵本です。 かいじゅうみたいにらんぼうだったらどうしようもしも　わたしのおやつをぬすんでばかりのねこだったらどうしようもしも　まねきねこみたいにうごかなかったらどうしようもしも　わたしよりピアノがうまいねこだったらどうしようもしも　みちにまよってばかりいるねこだったらどうしようそんな風に想像する子どもの、想像上の猫の姿がささめやゆきさんによって様々描かれています。佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」は...

先日から続けてヨゼフ・ウィルコンの鳥の絵本が入荷しております。 ドイツ語の絵本が2冊と、本日は日本語の絵本「ミンケパットさんと小鳥たち」が入荷しました。 この絵本「ミンケパットさんと小鳥たち」はいわさきちひろさんの「ことりのくるひ」のインスピレーションのもととなったとも言われている絵本で、一人の、町の皆から煙たがられている老人が、ピアノを通して小鳥たちとコミュニケーションをとり、友達になるという絵本です。定年を過ぎた老人が、そのピアノによって小鳥たちの歌を奏でられるようになり、ともに歌い、同じ部屋で冬を過ごし、春を迎えます。 人びとに疎まれながらも、小鳥たちとともに歌を歌い生活するこの老人の姿を見ると、小鳥たちと友達になるって、...

本日の新入荷商品のお知らせです。お盆期間中ということもあり入荷が少なく申し訳ございません。今週中はまだいつもより更新が少ないかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。本日は当店でもしばしば紹介している、作家さんの絵本が色々と入ってきました。「ミンケパットさんの小鳥たち」ヨゼフ・ウィルコン「影の縫製機」ミヒャエル・エンデ　ビネッテ・シュレーダー「生命の樹」ピーター・シス「ふゆのはなし」エルンスト・クライドルフ「あおおじさんのあたらしいボート」エルサ・ベスコフ「ぼうし」トミー・ウンゲラー「イソップのお話から」バーナデット・ワッツ「ジャリおじさん」大竹伸朗「おばけ桃の冒険」ロアルド・ダール　ナンシー・エコーム・バーカートなどなど、ほかにも...

こちらはアメリカの著名なグラフィックデザイナー、ポール・ランドの絵本「ぼくはいろいろしってるよ」です。ポール・ランドは色々な大企業のロゴデザインなど、多数の仕事を残したアメリカデザイン買いの巨匠の一人です。あのスティーブ・ジョブズともNeXT社でともに仕事をしたりもしていますね。デザイナーが作った絵本ということで、やはり最初に目に行くのはその絵や、文字を含めて画面構成の美しさ、楽しさなのですが、この絵本はお話もとても素敵です。子どもの視点でいろいろな「しっていること」を話してくれます。ぼくはいろいろしってるよ…ねこはにゃおとないていぬはわんとほえてそうやってはなしをしてるのさぼくはしってるよせかいはひろいおほしさまはとおいおつきさま...