『AMERICAN FOLK SONGS FOR CHILDREN』Barbara Cooney先日スタッフが、バーバラ・クーニーの『When the sky is like lace』(日本語版タイトル『空がレースにみえるとき』)を見ながら、クーニーではこれが一番好きですね、と言っていたのですが、自分は70年代以降の後期のクーニーより、50年代頃のモノクロの絵が中心のクーニーが好きなんですよね。(『When the sky is like lace』ももちろん好きですけれど)この『AMERICAN FOLK SONGS FOR CHILDREN』(初版は1948年)は、そんなクーニーのモノクロの挿絵がいっぱいの1冊です。全190ページの中に小さなカットから大きな絵まで、クーニーの絵がたっぷりと。クーニーのモノクロの絵は、色が...14Feb2025news日々の絵本
『月夜とめがね』(1954年)小川未明 茂田井武茂田井武さんの本を紹介するのは初めてだったかな、と過去の記事を調べてみると8年前に『ton paris』を紹介しておりました。茂田井さんは絵本の仕事では『セロひきのゴーシュ』がよく知られていると思いますが、2000年代以降に子どものための絵を(絵本、イラスト)をしっかり見始めた自分にとってはやはり『ton paris』が非常に印象的でした。(こういう方は多いのではないでしょうか?)美しく、素朴で、ひとりでに優しく輝いているような絵。この『月夜とめがね』(1954年)も、自分にはそんな茂田井武の暖かさが感じられる素晴らしい本です。タイトルを見てすぐおわかりになると思うのですが、こちらは小川未明の童話集に茂田井武が挿絵を付けた絵本ですね...07Feb2025news日々の絵本
『Laughing Time』William Jay Smith Juliet Kepesアメリカの詩人ウィリアム・ジェイ・スミスの子どものための詩に、絵本作家ジュリエット・キープス(ジュリエット・ケペッシュ)が絵を付けた、詩の絵本『Laughing Time』です。ジュリエット・キープスは日本でも『ゆかいなかえる』が広く読まれていると思いますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?『ゆかいなかえる』ではあまり感じられないかもしれませんが、キープスはわりとアート的なアプローチで作品をつくることもある絵本作家さんですね。墨で描いていると思われる絵もしばしばあったり(本書もそうです)、夫がニュー・バウハウスで教鞭を執っていた、ジョージ・ケペシュであることも影響しているかと思います。この愉快な、子どものための詩の絵本も素晴...06Feb2025news日々の絵本
「カリジェの町の大時計」ぬまのうまき『カリジェの町の大時計』当店ではおなじみの絵本作家さん、ぬまのうまきさんの新刊が発売になりました。『カリジェ』と言う町にある大時計のお話。二人の女の子が出会うための、小さな冒険と不思議な魔法。この絵本のどこがすごいって、まず、本当に、ぬまのうさんの絵の進化/深化がとてつもないですね…。これまでの作品にも見られる可愛らしいカットもありつつ、見開きページの絵の表現で見せていく。この見開きがどれも素晴らしいのです。(この絵本を読んだ方の中でも、どの見開き場面が好きかは結構分かれるのではないでしょうか。そして、その違う意見に対しても、あの場面の絵もすごいよね…!とお互い心から思えるほどどれも心に深く響くのです)自分は特に印象的だったのは、時...25Jan2025news日々の絵本Blog
『KAPTEIN BLA』『MALERMESTER GRONN』YOKOLANDノルウェーのデザイナーユニットYOKOLANDによる絵本2冊。『MALERMESTER GRONN』(マイスター・グリーン)『KAPTEIN BLA』(キャプテン・ブルー)デザイナーらしく色がお話のテーマになっていて、穴あけ加工などもある楽しい絵本ですね。ノルウェー語でノルウェーでの出版ということもあり、手に入りづらい本ですのでお値段はやや高くなってしまっておりますが、デザイン系の絵本がお好きな方にはぜひ見て頂きたい絵本です。どうぞご覧下さい。12Jan2025news日々の絵本
『THE SEASHORE NOISY BOOK』Margaret Wise Brown Leonard Weisgardマーガレット・ワイズ・ブラウン×レナード・ワイスガードの名作『NOISY』シリーズの1冊『THE SEASHORE NOISY BOOK』(日本語タイトル『うみべのおとのほん』)先日入荷したのは1950年頃の刷りのものです。(初版は1941年)紙の経年感じも、印刷の雰囲気も良い1冊ですね。アメリカの図書館の除籍本なのですが、その割に状態も良く、自信を持っておすすめできます。これは度々書いているので覚えた方もいると思うのですが、アメリカの出版社Harper & Brothersは1962年にHarper & Rowに合併に伴い社名変更をしているので、Harper & Brothers表記のものは1962年以前の...05Jan2025news日々の絵本
『A Child's Garden of Verses』Florence Edith Storerロバート・ルイス・スティーヴンソンの、子どものための詩の古典であり、金字塔。『A Child's Garden of Verses』様々な作家が挿絵を描いていますがこちらはFlorence Edith Storerのもの。刷りは1920年頃。カラーの絵もありますが、モノクロの絵が良いですね。いつかこの詩集をテーマにした企画展やりたいな...。とぼんやり思ったりしております。(その際は作家さん、どうぞ宜しくお願いします...)https://frobergue.stores.jp/items/60abd40f8899be5037ff996c28Dec2024news日々の絵本
『A FOR ANGEL』Beni Montresor本日のオンラインストアの更新は結構豪華です。そんな中のベニ・モントレソールのABCブック『A FOR ANGEL』は当店では5年ぶりくらいに入荷だったかと。モントレソールらしいユーモアに溢れた楽しい絵本ですね。ページの中に、そのアルファベットで始まる(と想像できるもの)が幾つもあって、自由にお話を作って遊べるようになっているんですね。そして、モントレソールはやはり絵がめちゃくちゃ良いです...!モントレソールは本当に絵が子どもの方を向いている、という強い感触があって見ていて嬉しくなるんですよね。こういう作家って、実はあんまりいない気がします。ぜひ御覧くださいませ。27Dec2024日々の絵本
『おもちゃ籠/おもちゃ籠補遺(1915年/16年)』若尾謹之助本日は大正五年(1915年)刊行の貴重な和装本『おもちゃ籠/おもちゃ籠補遺』を更新しております。著者の若尾謹之助(1882年〜1933年)は明治末期から昭和初期の甲府の実業家、政治家で(貴族院多額納税者議員/東京電燈取締役、東京瓦斯取締役など)、本書はそんな若尾謹之助が、自らの幼年時代の甲府の子どもの遊び、歌、玩具などをについて、時折感想を交えながらつらつらと書き記した本です。目次などがなく、体系的に整理された構成でも無いのですが、エッセイと言うにはあまりに資料的で、学術本としてはあまりに随筆的という、ちょっと不思議な本ですね。(巻頭で、私は学者ではないので正確性に頓着しない、といったことも書かれています)巻頭には著者自身による玩具...22Dec2024news日々の絵本Blog
「赤馬物語」福永令三 和田誠先日更新した『赤馬物語』(1964年/非売品)はまだ和田誠さんがフリーになる前(ライトパブリシティ時代)の、そのキャリアの初期に挿絵/デザインを手掛けた貴重な本です。和田誠さんの初期の仕事、というのでも貴重なのですが、この本はモービル石油が創業70年に際して記念行事の一つとして、創作童話を公募し、その中の優秀作品を四作を(特選一篇、佳作三篇)1冊の本としてもまとめたもので、その特選を受賞しているのがなんと、福永令三さんなんです。福永さんの特選受賞作品は『十二色のクレヨン』。そう、後の大人気シリーズ、『クレヨン王国』シリーズの原型となった物語なんですね。この本は刊行の目的上、書店への一般流通はせず全国の小中学校に配られたとのこと。こう...20Dec2024news日々の絵本
「満ちている」ただあやの当店でも今年3月に個展を開催させて頂いた画家、たただあやのさんの絵本デビュー作品『満ちている』をぜひご紹介させて下さい。なんと、まあ、素晴らしい絵本が誕生しました…!今年読んだ新刊絵本では個人的にNo.1かもです...!これは、変わらざるをえない自分自身を、その変わってしまった悲しみの底から立ち上がり、優しく肯定していく強く美しい、不思議な物語。たださんの絵画作品は以前から拝見させて頂いていたのですが、あの、多くの言葉を含むような(それでいて安易に言葉を付けてしまうと無粋になってしまうような)不思議な世界を描くたださんが、絵本のなかでどんな言葉を語るのだろうと、楽しみにしておりました。そして、早速読んでみると、本当に、唸ってしまいま...13Dec2024news日々の絵本Blog
Clarke Hutton 1898-1985本日は大英博物館やヴィクトリア&アルバート博物館にもその作品が所蔵されている版画家/挿絵画家Clarke Huttonの絵本を4冊オンラインストアに更新しております。Clarke Huttonの絵本作品がすべてそうなのかは不明なのですが、この4冊はどれもリトグラフで刷られています。石版ではなく金属版を使ったものかな、と思うのですが、印刷の感触としては初期のペール・カストールシリーズ(ロジャンコフスキーなど)や、ダーロフ・イプカー、ドーレア夫妻などのリトグラフ刷りの絵本の印刷に近いですね。この国の歴史絵本シリーズ(A PICTURE HISTORY OF〜)はまさに「子どものための美しい絵本」を体現するような本で、ページを捲っ...12Dec2024news日々の絵本