本日より取り扱いを開始させて頂いた新刊書籍ですが、その第1弾としてまずは9点のタイトルが入荷しております。
それぞれまた詳しくご紹介をさせて頂く予定でおりますが、まずはその中からこちら。
「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集」
斉藤倫 高野文子 画
昨年出た本なのですが、まずタイトルが良いですよね。何だか胸がドキドキするタイトルです。
自分はこの本は発売後にすぐ買って読みました。とてもとても良い本で、うちのお客さんに勧めたいなあ、とずっと思っていた本なので、新刊を扱うことが決まった際にはまずはこの本、と決めていた一冊なんです。
タイトルに、〜詩集となっていますけれど、詩集というよりは、詩を紹介する本、詩を楽しく読む本といったほうがわかりやすいでしょうか。
ある男の人と(30〜40歳くらい?)小学校高学年ほどの男の子、その二人の対話で、お話は展開されます。
親戚でもない大人の人の家に、ちょくちょく遊びに来る(その理由は本の中で少し明かされます)この男の子が、学校であったことや、日常のことなど、「言葉」について疑問に思ったこと、感じたことを、その男の人に色々と質問したり、考えたことを話すのです。
男の人は男の子に丁寧に、さまざまな詩を引きながら、言葉の楽しさ、詩の楽しさ、考えることの喜びを教えていくのです。
詩は読みたいけれど、難しそう。
何から読んだら良いかわからない、そういう方はたくさんいると思うのですけれど、そんな人にはぴったりの本なんです。
この本に出てくる男の子の年齢、小学校高学年くらい〜大人まで、ほんとうに幅広い年齢の人が楽しめると思います。プレゼントにもオススメです!
素晴らしい詩が幾つも紹介されているのですけれど、少しだけではございますが、引用をさせて下さい。
本書の中では二人の対話の流れの中で、詩が読まれ、そこでそれぞれの詩の良さが更に引き出されている部分もあるのですが、いま単独で詩だけ読んで頂いても、なんだか良いな、ときっと思って頂ける詩を選びました。
詩を読んだ後には、本書の中でどんなふうにその詩が話されているのかも、ぜひ読んでみてほしいです。
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「まつおかさんの家」辻征夫
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ランドセルしょった
六歳のぼく
学校へ行くとき
いつもまつおかさんちの前で
泣きたくなった
うちから 四軒さきの
小さな小さな家だったが
いつも そこから
ひきかえしたくなった
がまんして 泣かないで
学校へは行ったのだが
ランドセルしょった
六歳の弟
ぶかぶかの帽子かぶって
学校へ行くのを
窓から見ていた
ぼくは中学生だった
弟は うつむいてのろのろ
歩いていたが
いきなり 大声で
泣き出した
まつおかさんちの前だった
ときどき
未知の場所へ
行こうとするとき
いまでも ぼくに
まつおかさんちがある
こころぼそさと かなしみが
いちどきに あふれてくる
ぼくは べつだん泣いたって
かまわないのだが
叫んだって いっこうに
かまわないのだがと
かんがえながら 黙って
とおりすぎる
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「句集 無伴奏」より 岡田幸生
無伴奏にして満開の桜だ
さっきからずっと三時だ
窓に立つと星の名前の話になった
こんどうまれてくるときもそうかコスモス
スカーフで肩をつつんで花束になる
たんぽぽ持って吹かないでいる
是非当店オンラインストアでも御覧ください。
「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集」 斉藤倫 高野文子 画
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