「なんにもないない」ワンダ・ガアグ

無いのに在る、などというと禅問答や仏教における「空」の概念を思ってしまったりもしますが、そんな難しそうなものではなくて、ワンダ・ガアグの絵本「なんにもないない」のことなんです。

あるところに三びきの捨て犬の兄弟がいました。一匹は耳のとがったとんがりにいさん、一匹はまきげのくるりんにいさん、そしてもう一匹のおとうと犬は….。

のっぽではない、ちびではない、なんてことはない、なんにもない、だから名まえも「なんにもないない」

すがたはありませんでしたが ないないはしあわせでした。

とぶこともはしることも 食べることも出来ましたし、兄さんたちと吠えたりじゃれ合ったり、仲良く楽しく暮らしていました。

この姿のない子犬「なんにもないない」のちょっと奇妙で不思議なお話が、この後どういう風に展開するのかは、是非読んで確かめて下さい。

「100まんびきのねこ」などで知られる作者のワンダ・ガアグは1946年53歳の若さでこの世を去っています。

こちらの絵本「なんにもないない」のオリジナル版は1941年の本なので、その死の5年前、晩年の作品になりますね。

絵もお話も、ともに自身で手掛けた作品としては最後の作品で、彼女の芸術はますます磨きがかかり、この絵本でもコールデコット賞オナー賞を受賞しています。

勿論大人はもとより、小さなお子様でも「なんにもないのにいるなんて、変!」と楽しく読むことは出来るかと思いますが、基本的に難しい部分は無いとは言え「ないのにある」という不思議な感じを「不思議」と思える年齢(四年生以上程度でしょうか)からが読むのは適当かもしれません。

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なんにもないない」ワンダ・ガアグ

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