「カリジェの町の大時計」ぬまのうまき

『カリジェの町の大時計』


当店ではおなじみの絵本作家さん、ぬまのうまきさんの新刊が発売になりました。

『カリジェ』と言う町にある大時計のお話。

二人の女の子が出会うための、小さな冒険と不思議な魔法。

この絵本のどこがすごいって、まず、本当に、ぬまのうさんの絵の進化/深化がとてつもないですね…。

これまでの作品にも見られる可愛らしいカットもありつつ、見開きページの絵の表現で見せていく。この見開きがどれも素晴らしいのです。

(この絵本を読んだ方の中でも、どの見開き場面が好きかは結構分かれるのではないでしょうか。

そして、その違う意見に対しても、あの場面の絵もすごいよね…!とお互い心から思えるほどどれも心に深く響くのです)

自分は特に印象的だったのは、時の止まった町の遠景の場面。イワン・ガンチェフを思わせるような、優しくも不思議な世界を見せてくれます。

もう一つは螺旋階段の場面。何と良いますか、堀内誠一さんが時折描くような(パンのかけらととちいさなあくま、きこりとおおかみなど)、ダイナミックさがありワクワクしました。

わざわざ既存の絵本作家の名前を挙げたのは、ぬまのうさんの絵からは、本当に様々な偉大な絵本作家たちの息吹がそこここに感じられるのですよね。

恐らく沢山の絵本をよく読み、古典たる絵本から非常に勉強しているのだと思います。

絵のことばかり書いてしまいました。

ところで、恥ずかしながらこの絵本の帯文を自分が書かせて頂いております。

「絵本の魔法は時間を止める。カリジェの町の時計もそうだ。その魔法の時間の中でだけ、私たちは会える」

自分の文章の説明をするのも何か変なのですけれど、絵本を読んでいるときに、大人である私たちはその度に何度も時間を止めることが出来る、それどころか、時間を巻き戻して子どもになって….、いいえ、子どもであったころの自分たちと、その止まった時間の中で、再び会える、絵本を読む度に、何度も。

こうした絵本を読むことの原初的な喜びを、この『カリジェの町の大時計』という作品のお話に重ねて、推薦文を書かせて頂きました。

お子さまと一緒に、そして大人ひとりでも(読んでいるときは誰もひとりではないのです)ぜひ読んでいただきたいです。

どうぞご覧ください。



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