「きみ どこへゆくの?」エルサ・ベスコフ

スウェーデンの絵本作家エルサ・ベスコフの可愛らしい絵本が入荷しております。

昨日の投稿では、花の絵本の紹介にクライドルフの名前を挙げましたが、このベスコフを思い出す方もたくさんいるのではないでしょうか。

当店ではもう何度も取り上げておりますが、本日ご紹介する「きみ どこへゆくの?」は、これまでご紹介してきたものとは少し違ったつくりの絵本となっています。

愛らしい登場人物や豊かな自然の描写が魅力のベスコフですが、同時にそのおはなしにもファンが多いかと思います。そのほとんどをベスコフ自身が手掛けているのですが、こちらの本は珍しくある女性との共著となっています。表紙には「エルサ・ベスコフ絵」に対し「アリス・テグネール作詞作曲」と書かれています。そう、この絵本は物語絵本ではなく、楽譜絵本なのですね。

中を開くと、左ページにはテグネールが作った歌の楽譜にベスコフの白黒のシルエットで描かれたイラストの装飾が。そして右ページにはその歌の中の詞を一部抜き出し、それに合わせたベスコフのカラーイラストが大きく描かれています。

ベスコフがスウェーデンの国民的絵本作家であったように、このアリス・テグネールも「スウェーデンの子どもの歌の母」と呼ばれる人物でした。最後に記された翻訳家・石井登志子さんの解説に詳しく書かれていますが、この二人がこうして歌の絵本を一緒に作ることになったのは、ストックホルムの郊外で偶然隣人になったことがきっかけだったそうです。その後、二人の本は長い間スウェーデンの音楽の教科書になっており、誰もがその絵や歌に親しんだそうです。羨ましいお話ですね。

ベスコフの絵も、テグネールの歌も、スウェーデンの生活や文化がもととなっており、あたたかで愛らしい描写がどのページにも広がっています。

さらにこの絵本を特別にしているのは、訳詞です。日本在住のスウェーデン人・柚井ウルリカさんが意訳をしたものを、「夏の庭」などで知られる日本の作家・湯本香樹実さんが日本語の歌として子どもたちが歌えるような歌詞に直したのだそうです。素朴でやわらかくて、子どもが呟いているような、可愛い詞ばかりです。

楽譜が読める方は、ぜひこの曲をこの歌詞で子どもに演奏してあげてみてはいかがでしょうか。

写真に写っている不思議な穴の空いた紙は、先月のマルシェでrさんから購入したアンティークのミュージックロールです。演奏機はありませんが、このロールを見ているだけでも音が聞こえてくるようで不思議ですね。

0コメント

  • 1000 / 1000