エルンスト・クライドルフ。
自然を、虫や動物たちを、独特の視線で見つめ愛情を持って描き出した、スイス出身の、絵本の歴史の中でも特別な作家の一人です。
先日、当店のお客さまがクライドルフの作品を見ながら、これは、鳥獣戯画の世界ですね、と仰っていました。
擬人化と言う手法も、現代ではディズニー以後と言う明確な線引があるように思えますが(ディズニーはバンジャマン・ラビエの影響を強く受けているとも思いますが)、それ以前の、全く違った出自の表現のように見えるのですね。
それはきっと、自然への視線なのだと思います。
スイス出身ということが、そうさせているのでしょうか。
自然に対する近さ、それはきっと日本の文化とも似ている部分があり、自然に対して意思や命をはっきりと意識する思想(これを「思想」と言う言葉まで高めると違和感があるかも知れません…。「嗜好」とでも言ったほうが良いでしょうか)、八百万の神と言う言葉もありますが、こうした部分が鳥獣戯画の世界とクライドルフの世界の共通する部分なのではないでしょうか。
こちらは先日オンラインストアに上げたクライドルフの1931年の作品「Das Schmetterlingswunder」です。
日本では1930年代のクライドルフの作品はなかなか見ることはないですね。
35年の絵本作品を最後に、絵本は制作しなくなってしまったので、この作品も最晩年の作品です。
この作品でも勿論、先に書いたようなクライドルフの自然への視線、描き方を見る事ができます。初期の頃の作品と比べると、何処と無くトゲが取れて柔らかく感じるのは気のせいでしょうか。
淡く、甘い、自然への愛に溢れたクライドルフの世界がそこにはあります。
クライドルフ作品は初期のものから最晩年のものまで(1935年の最後の作品も)当店には在庫がございます。オンラインストアにまだ上げていないものも多数あるので、気になって頂ける方はお気軽にお問い合わせください。
こちらの絵本はオンラインストアにございますので、是非そちらでもご覧ください。
当店のクライドルフの絵本はこちらです。
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