「THE HOLE IN THE DIKE」Eric Carl

エリック・カール。

恐らく日本で最もよく知られた海外の絵本作家だと思いますが、この未翻訳の絵本「THE HOLE IN THE DIKE」と言う絵本をご存じの方はあまり多くは無いのではないでしょうか。

けれど、このお話のもとになったお話はご存知かもしれません。

Mary Mapes Dodgeによるお話で、オランダのある少年のお話です。

オランダは知っている方も多いかと思いますが海抜の低い地域がとても多い国で、国の半分ほどが海抜1m未満だそうです。

ですので、堤防や水門など様々な技術、工夫を駆使しているのですが、このお話では、そのオランダの町を守る堤防に穴が空いてしまっているのを一人の少年が発見し、夜通したった一人でその穴を塞ぎ続け、町を救ったと言うお話なんです。このお話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

エリック・カールはこの勇敢な少年のお話を絵本にしているのですね。

少年の名前はピーター。

自分の生まれたこの町、そして土地を愛していました。

ある日海のそばの友達の家から帰る時、いつもより遅くなってしまったので、近道をしようと海岸線に気付かれた堤防(Dike)の上の道を自転車で行くことにしました。するとその帰路で、不思議な物音を耳にします。堤防のある箇所に穴が空いて、水が漏れているのを発見するのです…。

このオランダという特殊な地形をモデルにしたお話も面白いのですが、何よりエリック・カールのこの絵本の絵は本当に素晴らしいんです。

多くの彼の絵本は幼い頃から見慣れているせいもあってか、その技術やアイディア素晴らしさには驚きはするものの、絵それ自体を新鮮に感じることはあまりなかったのですが、この絵本を見て、改めてこの作家の凄さを痛感いたしました。

光の表現が、本当に美しく、素敵です。

描かれた木々や大地の緑は、一年で一番美しい新緑の輝きに溢れ、生き生きとし、吹いている風の潮の匂いも感じられる気がするほどです。

遠近法をほとんど省いた平面空間(ゲーム言う「横スクロール」と言う言い方がわかり易いかもしれません)のページの次には、大胆な、奥行きのあるパノラマを描いた場面を描くなど、絵の繋がりのリズムを意識した構成にも驚かされます。

エリック・カールの作品の絵の仕事、ということだけで言うならば、この絵本が一番好きかもしれません。お薦めです!

当店のこちらの在庫品は1975年の初版本と言うのも貴重です。

どうぞオンラインストアでご覧ください。

また最後でのお知らせなってしまいましたが、年末年始は12月30日〜1月3日の間は発送作業をお休みさせて頂きます。どうかご理解頂ければと思います。

それではどうぞ宜しくお願い致します。


当店在庫はこちらです。

THE HOLE IN THE DIKE」Eric Carl

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