「たくさんのお月さま」ジェームズ・サーバー 作 宇野亜喜良 絵

今日は横浜は、お昼頃からは突き抜けるような青空で、強い風と雨で大気の中の塵や埃がすっかり落ちて、落ちていく陽の光も直線的に、とても近く感じるようでした。

日が落ちて暗くなると、西の空には細く鋭い月の姿が現れて、それもまた透明な空気の中を光が通って、美しく輝いていました。

アメリカの作家/漫画家、ジェームズ・サーバーの童話「たくさんのお月さま」は、ここ日本では、ルイス・スロボドキンが絵を描いた絵本が有名かとも思いますが、この絵本は宇野亜喜良さんも、このお話で絵本を作っているのですね。

どんなお話かと言うと….、病気にかかってしまったあるお姫様が、王様に、月が欲しい、そうすれば病気は治る、と言い出すのです。

困った王様は家来たちに、どうすれば良いかと相談をするのですが、侍従長、魔法使い、数学者、などは皆役に立ちません。諦めた王様は道化師を呼んで悲しい音楽でもやってもらおうとすると…。

道化師とお姫様。

この二人の共犯関係のような関係が素敵なんです。

月を手に入れた次の夜に、また空に上っている月を見て交わされる、この道化師とお姫様の会話はとても美しく、読んでいるものの胸に響いてきます。

宇野亜喜良さんの、ユーモラスでありつつも何処か耽美的な絵も、この月と道化師とお姫様の関係を、特別に輝かせていて、スロボドキンの絵本とはまた全く違う印象の絵本になっています。

当店在庫商品は1989年版のもので、65年版、76年版ともまた絵が違うのです。

当店在庫はこちらです。


たくさんのお月さま」ジェームズ・サーバー 作 宇野亜喜良 絵

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