「ねずたんとねこたん」佐々木マキ Sasaki Maki

少し前になりますが、今月7日までちひろ美術館で行われていた「村上春樹とイラストレーター展」に行ってきました。佐々木マキさん、大橋歩さん、和田誠さん、安西水丸さん、四人のイラストレーターが一人の小説家とどのような共作を行ってきたのかがわかり、また四人それぞれの魅力がとてもよく表れた大変興味深い展示でした。特に、安西水丸さんが亡くなってしまってから、その意匠を継いで取り組んだ和田誠さんの仕事についての展示には、胸が熱くなるものがありました。

そして、原画を見るのは三度目でしたが、何度見ても佐々木マキさんの絵を前にすると不思議な気持ちになります。以前にも書いたかもしれませんが、絵本作家の原画展へ行くと、印刷された時に原画の雰囲気がそのまま表れている人と、全然違う印象を受ける人とがいます。佐々木マキさんは、間違いなく前者の作家さんです。それも、その中でも最たる作家と言えるのではないでしょうか。とにかく、驚くほど原画が美しいのです。絵の具を重ねたり溶け合わせたりといった表現をする作家さんではないので、くっきりした輪郭線の中を均一の色で塗られているのですが、ほとんど筆致や色ムラが見られず、まるでパソコンでカチッと絵の具ツールを使用して塗ったかのよう。しかし、機械的な硬さは全くなく、手描きの温かさが感じられるのはその線や色の丸みにあるのでしょうか。一体どうやって描いているのだろうととても気になります。

さて、長くなりましたがその佐々木マキさんの本が入荷しておりますので、少しだけご紹介させていただきます。カポーティやヘンリー・ミラーの翻訳などで知られる英文学者河野一郎さんがお話を書いた「ねずたんとねこたん」です。ねずみとねこが協力してある家族に飼ってもらおうと〝ねずみを捕まえる立派なねこ〟を演じます。いつも同じねずみではばれてしまうからと、ねずみに模様をつけたりとあれこれ手を尽くして…。

2匹がせっせと頑張る姿は実に愛らしく、佐々木マキさんの描く仕草がくすっと笑いを誘います。こちらは30年前に出版された絵本で、佐々木マキさんの絵にも現在と少し違いが見られるでしょうか。ちょうど、近年の作品「さばくのくいしんぼ」も在庫しておりますので、見比べてみるのも楽しいかもしれせん。ご興味ある方は是非オンラインストアをご覧ください。

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ねずたんとねこたん」佐々木マキ

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