「ANIMAL LAND」Sybil and Katharine Corbet1897年にスコットランドで出版された、奇書とも言っても良いような、なんとも不思議な魅力を放つ絵本『ANIMAL LAND』が昨年、アメリカの本屋兼出版社である、50WATTSから復刻出版されました。この絵本の作者は4歳の女の子Sybilとその母親のKatharine Corbetです。すべての始まりは彼女が3歳の頃、人が誰も住んでいない『ANIMAL LAND』のお話を聞かせて欲しいと、母親にせがみ始めたことでした。それからは、シビルが自身でその『ANIMAL LAND』にいる不思議な動物たちのことを、詳しく語り始めたのです。娘が語り、母が描いた、想像上の架空の国の動物たち。誰も見たことのない、誰も見ることのない、2人の交わす会話...27Jan2023news日々の絵本Blog
『クリスマス降誕劇の本』アトリエ風戸いよいよクリスマスがそこまで近づき、クリスマス絵本を読んでいる方もいらっしゃるでしょうか。お店がある地域は浅草からほど近く、お寺が沢山ありますが、それでもクリスマスらしさは至る所に見受けられます。この辺りでは幼稚園もお寺がやっているところばかりなのですが、私自身(店主妻)はキリスト教の園に通っておりました。お祈りも覚えずにしれっと最後のアーメンだけ言っていた不真面目な園児でしたが、卒園の際にやった聖劇(カトリックの園でした)だけは、それまでの園生活の色々がこのお話でなんとなく腑に落ちたのを覚えています。本日紹介する本(カード?)は、降誕劇を4つの冊子に分けて描かれたもので、折り畳まれた紙の一方にキリスト生誕のイラストが、もう一面には...18Dec2022news日々の絵本
イーダ・ボハッタの絵本まとめて更新しましたアンブロシウスフェアリーに合わせて、当店では今回も沢山の花の妖精や小人の絵本を描いたオーストリアの作家イーダ・ボハッタの小さな絵本を沢山ご用意しております。というのにも理由がありまして、当初今回はまた違う本と合わせることを考えておりました。ですがが、人気なのにずっと送料の関係であまり仕入れることができずにいたボハッタの絵本が、先日お知らせしたように、幾つかの国の仕入れ送料に変更があり、ドイツからもまとめて入荷することでお安く仕入れることができるようになりました。それならばと、前回のように古い刷りや珍しいものは少ないのですが、これまでよりお手頃なお値段で沢山の方に手に取っていただけたらと、在庫たっぷりとご用意いたしました。本日、オンラ...14Oct2022news日々の絵本
「ゼペット」レベッカ・ブラウン 柴田元幸 カナイフユキレベッカ・ブラウンによる、コッラーディのピノキオの翻案作品「ゼペット」が入荷しました。絵はカナイフユキさん、翻訳は柴田元幸さんです。(当店初回入荷分については柴田元幸さんのサイン入りのものをご用意しております)以下出版社からの本の紹介の引用を少し。『体の贈り物』『若かった日々』『家庭の医学』などで知られるアメリカの作家、レベッカ・ブラウンの小品「ゼペット」を、柴田元幸の翻訳、カナイフユキの絵によって、絵本にしました。レベッカ・ブランが夢見なおした「ピノキオ』です。人間になんかなりたくない、命なんかほしくないと言い続けるピノキオを抱えた老人のお話。その悲しみと優しさに、カナイフユキの色彩が寄り添います。引用終わり。読み始めは、反出生主...23Sep2022news日々の絵本
「THE SKATING GANDER」Marie Honre Myersオンラインストアに更新した「THE SKATING GANDER」はMarie Honre Myers挿絵による1927年(アメリカ)の作品です。初めて入ってきた画家の本ですが、20年代のアメリカには子どものための本の絵を描く画家たちの中にアールデコの強い影響下にある画家が一定数いますね。Marie Honre Myersもその中のひとりです。フランスのこの界隈の画家たちに比べ、知られていない画家が多く値段も比較的お求めやすいのも魅力でしょうか。ですが、それぞれ個性を持っていて、時折ハッとする表現、絵を見せてくれるのです。写真で上げた絵も良いですよね。ちょっとした装飾なども可愛いので、嬉しくなります。どうぞご覧下さい。16Sep2022news日々の絵本
「Woche fur die Deutsche Jugend」少し前にオンラインストアに更新した『Woche fur die Deutsche Jugend』(1906年)は1900年代初頭のドイツの児童雑誌『Die Woche』の合本版です。全190ページの中にお話、歌、なぞなぞ、科学的な記事などが、どれも可愛いイラストとともにたっぷりと収録されております。参加作家がとても多く、掲載されているイラスト数も充実しているので、この時代のドイツの子どものためのイラストレーションを概観できるのというのも、魅力の一つですね。自分もその名前にピンとこない作家が多かったのですが、良いな、と思えるイラストはとても多かったので、この1900年代前半のドイツ絵本がお好きな方には、必ず気に入って頂けるかと思います...15Sep2022news日々の絵本
「Good Neighbor」大桃洋祐大桃洋祐さんの最新私家版作品集「Good Neighbor」が入荷致しました。こちらの作品集は6月に横浜のjike studioさんで開催されていた個展にあわせて作られた作品集です。自然をテーマにしたこの作品集(個展)では、大桃さんの描き出す植物、花、風や雨、霧、そして光が様々な形で見ることが出来ます。大桃さんの絵本作品からは、自分はいつも『楽しい』が溢れていることを喜びながら読むのですけれど、この作品集は、眺めているととても静かな気持ちになってきます。この、夕暮れの道を、花を持って歩く少年は、行っているのか、帰っているのか…。夜の庭、ボードウォークを歩く親子はランタンを闇の方へ向け、暗い方を見ている。何か闇の中で物音でもしたのだろ...08Jul2022news日々の絵本
「Little Grey Rabbit」Alison Uttley & Margaret Tempest可愛らしい小さな判型の本の中に閉じ込められた、愉快で楽しい、森の小さな動物たちのお話。先日からイギリスの児童文学作家アリソン・アトリーによる「Little Grey Rabbit(グレイ・ラビット)」のシリーズを幾つか、オンラインストアに更新しております。このグレイラビットシリーズ(絵は基本的にマーガレット・テンペスト)も、日本でも広く読まれていると思いますが、アトリーの著作は岩波少年文庫などでも幾つも読めますし、日本の絵本作家の方が挿絵を付けているお話も幾つもありますね。作品がとても多いので、代表作と言って良いものも幾つかあると思うのですが、このグレイラビットシリーズも間違いなく代表作の一つですね。自身の息子のために書いたというこ...01Jul2022news日々の絵本
フランク・アッシュの絵本最近、アメリカの絵本作家、フランク・アッシュがすごい好きです。読むたびに心が震えています。日本語にも沢山翻訳されているので、お好きな方も沢山いると思いますので、何を今更…、と思われるかも知れません。すみません、今まで読んだことがなかったもので…。今日も三冊、Moon Bearのシリーズのアメリカ原書版を更新しております。更新しながら早速読みました。ほんとうに良いですよね。心が何だか透明になっていくような、そんな感触があります。主人公のクマくんの純粋さ。友達の小鳥たちや動物たちの優しさ。そして、何も言わない月。この絵本の世界をずっと包みこんでいる静けさ。単純な構造のお話なのに、何故こんなにも心が動かされるのか…。自分が思うのは、この絵...11Jun2022news日々の絵本
「NURSERY RHYMES」Marjory Hood更新後すぐに売れてしまったのですが、本日更新しました「NURSERY RHYMES」Marjory Hood(1930年頃)が素晴らしかったので、少しだけご紹介を。イエローと薄いブルーの、優しい感じの表紙からは想像もつかないのですけれど、この絵本は黒色が素晴らしいです。しっとりとした、深い墨のインキ。この黒が背景に使われている絵は、他の色の絵よりもとびきり素晴らしいです。その黒だけでなく、他の色も映えて明るく鮮やかに見えます。最近は、古い絵本の黒色が気になっています。この絵本はイギリスの絵本なのですけれど、20世紀初頭のドイツ絵本や、1920年〜30年代のアメリカ絵本など、黒色が特徴的に感じられる絵本の時代がありました。(もしかした...09Apr2022news日々の絵本
「BEST IN CHILDREN'S BOOKS」先日から『BEST IN CHILDREN’S BOOKS』のシリーズを少しづつ更新しておりました。このシリーズは1957年〜60年代後半にかけて全42巻が出版されたもので、アメリカの著名な絵本作家が多数参加しております。各巻にお話が7〜8話程度、巻末には世界の国の中から一つの国の紹介コーナーと言った構成です。巻頭のお話以外は10〜20ページ程度の短いものが多いのですが、ここで挿絵を描いている絵本作家が本当に豪華なんです。名前を挙げていくと、レナード・ワイスガード、フェードル・ロジャンコフスキー、エイドリアン・アダムス、ボブリ、ロバート・ブライト、ピーター・スピアー、リチャード・スキャリー、ドン・フリーマン、バーバラ・クーニー、エズ...05Mar2022news日々の絵本
Gwen Frostic本日はGwen Froasticというアメリカの版画家/詩人/印刷職人の本を幾つか更新しております。彼女は自身の運営する活版印刷所でその作品を制作しているのですが、その本はどれも手造りの感触を強く残す、モノとしてとても魅力的な本になっています。様々な色の紙、手漉き紙のような紙、トレーシングペーパーなどに自身の詩と絵がプレスされ、その表現は一様ではないので、ページを捲るたびにその紙面の表情が変わっていくのがとても楽しいです。それぞれの刷り部数はわからないのですが、この造りの本は大量には印刷は出来ないのではないでしょうか…。50’s〜70’sの作品が入荷しておりますが、現代の目で見ると、作家性の強まったタラブックスの本ようだとも感じられ...29Jan2022news日々の絵本