「En sortant de l'ecole」Jaque Prevert Jacqueline Duheme

絵本はきっと、自由ということといつもとても近いところがあって、だから多くの作品で「自由」と言うことを感じることが多いのですが、特にそのことを強く感じる作家がひとりいます。

ジャクリーヌ・デュエーム、今現在90歳の、このフランス絵本作家が描く世界はいつも読むものに想像力の羽根を与えてくれるのです。

「En sortant de l’ecole」

ジャック・プレヴェールの詩にデュエームが絵を付けたこの絵本も、本がまるで翼であるかのように、読者を自由の空へ羽ばたかせてくれるのです。

「学校を抜け出して」子どもたちは金の貨車に乗り、地球の周りを周っていきます。

海では色とりどりの貝や、魚と、海の上では星や月と。

指人形の動かす潜水艦、そして冬を超え、春が住む家へ。

春は世界中を花で埋め尽くし、子どもたちはまた帰っていくのです。

プレヴェール、エリュアールなどをはじめとした詩人たち、それも戦禍の中で自由を希求した、そんな詩人たちの作品の挿絵を多く手掛けた彼女だからこそ、こうした絵が描けるのでしょうか。

少し分析的なことを言えば、デュエームの絵にはいつも「無重力感」が溢れています。どの作品でも「地面に足をつける」という地球の約束事からは解き放たれているのです。

(そう言えば宮崎駿さんの作品でも、自分はいつもあの「無重力感」が気になります。「自由」ということは比喩的にも、勿論そのままの意味としても、飛行への希望と密接に関わっているのでしょう)

この絵本「En sortant de l’ecole」は、現在当店には、大きな判型のハードカバーのものと、小さな新書サイズほどのペーパーバックのものがございます。

大きなサイズの方は絵を充分に楽しめますし、テキストの部分もデュエームの手書き文字がそのまま採用されていて(ペーパーバックの方のテキストはタイプされたものです)、そして最後の見返し頁には、Joseph Kosma(!)による「En sortant de l’ecole」の楽譜も載っているんです。

ですがペーパーバックの絵本の方こそ、この絵本の内容ととても響き合ったものである気もしますね。

本が自由への翼であるなら、この小さな判型の絵本をポケットに入れて、そうすれば何処にいても、誰といても何をしてても、すぐに本を取り出して、大空へと飛んでいけるのです。


当店のジャクリーヌ・デュエームの絵本はこちらです。

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