「おやすみなさいのほん」マーガレット・ワイズ・ブラウン/ジャン・シャロー

私たち夫婦のもっぱらの悩みはもうじき2歳になる娘が、あんまりにも夜更かしなことでした。

8時にはおやすみなさいね、と布団へ行く習慣はあるものの、そこからバッタバッタと大騒ぎ、親が眠ったふりをしても一人でお歌を歌ったり、絵本を次々読み漁ったり、日付をまわってしまうこともざらでした(ごく最近、ようやく少しずつ眠るリズムができてきてホッとしています)。

娘はおやすみ前の本はいつも自分で本棚から選んで持ってきて、気にいると何度でも何度でも繰り返し読んでと言ってきますが、それは大抵、そこに描かれているものが自分の知っているものばかりの本が多いように思います。それと、もう一つはことばのリズムが心地よいものでしょうか。覚えて一緒に朗読する本は、やはり親も読んでいて気持ちの良いものが多いです。

先日オンラインストアにアップしたこちらの本は、日本でもとても人気の作品ですが、そういえばまだ娘に読んであげていなかったなと思いました。この仕事をしているので、よく「いい絵本ばっかり読んでいるんでしょうね」なんて言っていただくのですが、そんなことは全くなく、むしろ周りの方から教えていただくことばかりです。

それでも、やっぱり本屋さんとしておすすめしたい本はあります。この本も、その一つ。「おやすみなさいのほん」というタイトルから、寝かしつけ絵本と捉える方もいるかもしれませんが、そして実際にそうした狙いもあり書かれたものかと思いますが、なんというか、眠らせるための絵本ではなく、心を落ち着かせてくれるやさしい絵本、なんです。

よるになります。なにもかも、みなねむります。ことりたちも、さかなたちも、ひつじたちも、ほかけぶねもひこうきも。そんな当たり前の描写が淡々と描かれています。

だから〇〇ちゃんも眠ろうね、と言うことではなく(眠ってくれたらもちろん嬉しいのですが)、みんなねんねしてるね、〇〇ちゃんもねんねするから一緒だね、みんな一緒で嬉しいねって、ことりやリスやハチたちが眠っている姿を見て、思ってくれたらと思うんです。

最後に出てくる神さまの存在は、小さな子どもにはまだわかりませんが、みんな一緒だから大丈夫、そして眠っている間もちゃん守られているんだと、どこかで感じることができるんじゃないかと思います。

まるで親が子どもに与えてあげたいと思っている安心感を、絵本を通して届けてもらっているような本だなぁと思うのです。

そしてなんと言っても、先に書いた、ことばのリズムの心地よさがこの本にはあります。

是非石井桃子さんの素晴らしい訳を口に出して読んでみてほしいです。読んでいる親にとっても、やさしい絵本なんですね。

また、ジャン・シャローの昔の壁画から影響を受けた独特のフォルムの動物たちが、とてもとても気持ち良さそうに眠る姿は、見ているだけで幸せな気持ちにしてくれます。

子どもだけじゃなく、大人が眠る前に読むのにもおすすめです。


こちらの本は現在は古本の在庫もございますが、新品の本もお取り寄せも可能です。

どうぞ当店のオンラインストアの方でも御覧ください。


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