光りに包まれたような美しい絵を描く、絵本作家のきくちちきさん、皆さんきっとご存知の作家かと思うので、説明は不要でしょうか。
当店の他に、きくちさんの作品を昔からとても推しているお店は幾つもあるので、うちのお店がそんな推さなくても良いのかな、と何処かで思ってしまっていたのですけれど、「月刊東京人 2020年3月号(絵本特集)」に載っていたきくちさんのモンヴェルのオマージュの絵が本当に素晴らしくて…、もう居ても立ってもいられず、モンヴェルに絡むことだったらうちのお店で紹介しても良いですよね?と、言う気持ちで、きくちさんの絵本です。
自分よりも妻のほうがきくちちきさんのことは昔からずっと好きで、それは勿論「えほんやるすばんばんするかいしゃ」さんの展示などで知ったと思うのですが、今こうしてきくちさんの絵本を挙げるからには、こうした先輩の本屋さんに敬意を持って、きくちさんの紹介をしたいと思っております。
「しろねこくろねこ」
仲良しのしろねことくろねこの、ただそれだけのお話の、絵本です。
ただそれだけなのに、この絵本を読むとなんて胸が痛く、涙が溢れそうになるのでしょう。
造本もデザイン性が高く、イラストレーションとしても、そうした指向性が感じられるのですけれど、そうした要素とは反対に、この絵本にはどこか生のままの、怖い部分が、何かが露わにされたままの、痛みを感じる部分がそのまま紙に落とされている、そんな風にも感じます。
猫の絵本、ということで自分の感覚が引っ張られてしまっているとは思うのですけれど、佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」の痛みを感じる部分を思い出しもしました。(実は自分は、あの絵本は苦手なんですが…)
イノセントが、この社会の規律とは違う方へと、この絵本の中では突き進んでしまっている、そんな風に思えるのです。
遊びながら、じゃれ合いながら、しろねことくろねこは歩いて、走っていき、この世界の向こう側へと行ってしまう。しろとくろの意味の、世界が反転した向こう側。そうした場所で(しか?)幸せになる(なれない)、二つの小さな命。
胸が痛くても、この絵本を読むことを止められないのは、こうした現実とは離れてしまった「純粋な世界」を感じることで、今の自分のどこかズレてしまった心の調律が出来るからなんだと思います。
「しろねこくろねこ」は、きくちさんの絵本の中でも、特に素晴らしい絵本だと思っております。
最初に書いた「月刊東京人2020/3絵本特集号」(中古の在庫ございます!)は参加作家も豪華で読み応えがあるのですが(及川賢治さんと荒井良二さんの対談はとても面白いです…)、きくちさんが描いたモンヴェルへのオマージュの絵はほんとうにすごくて、美しくて美しくて、どこか怖いくらいです。
(また怖いって、言っていますね。自分はどうやらきくちさんの絵本を、(良い意味で)「怖い」と思っている部分があるのかも知れません)
オンラインストアの方では「しろねこくろねこ」(中古/新品<新品は取り寄せ>)「東京人」、モンヴェルの絵本などを一緒に並べておりますので、どうぞオンラインストアの方でもご覧ください。
今ここにさらっと書いたのですが、この度当店でも、新刊の取り扱いを始めました!
またこのことは詳しく書かせて頂きますが、基本的には取り寄せ(1週間ほど掛かります)の対応となり、また契約した問屋さんの関係上、すべての出版社の本を扱えるという訳でもないのですけれど、絵本を出している出版社を中心に、多くの出版社の新刊も、当店よりご購入出来るようになります。
本日紹介した「しろねこくろねこ」は新品(定価2500円+税)を取り寄せ可能です。
これからは日本の絵本の新刊もどんどん紹介させて頂きたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
当店のきくちちきさんの絵本はこちらです。
新品の本に関しては他のタイトルもお取り寄せが可能ですのでお気軽にこちらからお問い合わせください。
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