ウィーンではトーマス・ベルンハルトの通ったというカフェ、ブロイナーホーフへも。
窓にはベルンハルトの写真が貼られ、彼の席はどこの席かと聞けば、ウェイターが指差して教えてくれました。
トーマス・ベルンハルトの「ヴィトゲンシュタインの甥」という小説ではこのブロイナーホーフ、そしてザッハーがしばしば出てきます。
ヴィトゲンシュタインの甥であり、ベルンハルトの親友でもあるパウルは、このブロイナーホーフの上に住んでいました。
晩年に交友の少なくなってしまったパウルのことを、ベルンハルトはここに座って度々思ったそうです。
「ヴィトゲンシュタインの甥」はベルンハルトがそのパウルのことをふらふらと語る、不思議な小説です。
ガイドブックにも乗っているカフェですが、観光客は少なめでしょうか。
誰かが居た場所を訪れると、その誰かを近くに感じる気がするのは、場所の記憶なのでしょうか。
これは荒川修作さんそして保坂和志さんでしたか。
擦り切れたシートに手を当て、息を吸って、コーヒーを飲んだだけなのですけれど。
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