この「アオサギとツル(ダーリ採集によるロシア民話より)」は原案がロシア・アニメーションを代表する作家ユーリー・ノルシュテインとなっております。元々の形からどの程度ノルシュテインの手が加えられたのかはっきりとはわかりませんが、とてもシンプルなお話です。
互いに近くに暮らすアオサギとツル、ツルはある時アオサギを気に入り結婚を申し込みますが、すげなく断られてしまいます。しかし断ったアオサギはアオサギで、すぐに断ったことを後悔し大急ぎでツルの家を訪れ、お嫁にして下さいと言うのですが、今度はツルが冷たくあしらってしまいます。しかしツルそんな態度をとったことを悔やみ、、、。
すれ違う思いが交錯し連続し続ける少し寂しい、大人のための絵本とも思えますが、互いに気持ちの通じ合うことのできないコミカルな掛け合いには、小さなお子様に聞かせればお子様はきっと面白がるのではないでしょうか。
絵を描くフランチェスカ・ヤーブルソヴァはノルシュテインの奥様でもあり、この絵本以外に「きつねとうさぎ」でも一緒に仕事をされています。
「アオサギとツル」のヤーブルソヴァの絵は1ページ1ページが額に飾られた絵のように装飾され、アオサギとツルのやりとりを窓から覗いているようにも見えます。
何処となく陰を感じさせる雰囲気を醸しながらも、アオサギとツルの喜怒哀楽が軽やかに描かれており、このお話の二面性を上手く引き出しているように感じます。
愛することそして孤独を、寂しくもコミカルに描いた恋の寓話の絵本です。この本の判型も、小さすぎず大きすぎず、何だかお話に合っている気がして素敵です。
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