「コウノトリのおはなし」マーガレット・ワイズ・ブラウン 作 ティボル・ゲルゲイ 絵

僅か42年という短い生涯の中で数多くの名作絵本のお話を手がけアメリカを代表する児童文学作家となったマーガレット・ワイズ・ブラウン(1910-1952)とティボル・ゲルゲイによるこちらの絵本は「コウノトリのおはなし」です。

マーガレット・ワイズ・ブラウンの作品は、レナード・ワイズガードとの「The Noisy Book」シリーズやガース・ウィリアムズとの絵本、クレメント・ハードとの絵本など、挙げ始めれば切りのない程の絵本が出版されておりますが、その没後に改めて絵をつけられ絵本として出版された作品も多く、この作品も1954年に出版され、1955年のコルデコット賞銀賞を受賞している本です。

マーガレット・ワイズ・ブラウンのコウノトリの生活に密着した、まるでナレーションのような語り口で、お話は進んでいきます。

春になって使われなくなった煙突の上にコウノトリが巣を作ります。やがてひながかえり、夏が過ぎ秋になります。

何処からともなくコウノトリたちは集まってきて、群れをなして南の国へと飛び立ちます。アフリカの奥地で冬を過ごし、やがて北の国に春が来たのを知り、また戻っていき、煙突の上に巣を作ります。

こうした淡々とした語り口の中に、動物を見つめる優しい視線が感じられ、さりげなく描かれる人間とコウノトリの交流にも胸を打たれます。

時折現れるナレーションの無い見開きの、絵だけのページの群れをなす鳥たちの雄大な姿を描くのは、ハンガリー出身でアメリカの絵本作家ティボル・ゲルゲイものです。

鳥の視点から描かれる四季を彩る大地、そして小さな人間たちとその鳥たちの姿に、このお話の低音として流れている日々を繰り返すことの、そしてまた繰り返すために小さくあることの大切さを聞く思いがします。

当店在庫はこちらです「コウノトリのおはなし」

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