「ABC des GRIMACES」Alessandro Sanna

生まれたばかりの赤ちゃんのときは、泣くだけだったのに、半年もすると表情もとても豊かになって、笑ったり、怒ったり、そしてやっぱり泣いたり。

それをはっきりと分かるのは、子どもの口の形で、あ、機嫌が悪いのかな、とか、そんなに嬉しいの!?なんて思うこともあって、まだ言葉は話さないでも、その口でたくさんの事を伝えてくれますね。

イタリアを代表する現代のイラストレーターAlessandro Sannaのこの絵本はそんな「口」に注目した面白い絵本です。

「ABC des GRIMACES」(おもしろい顔のABC)と題されたこの本は、A/aからZ/zまでのすべてのアルファベットが、子どもの口になっていて、それにあわせるように、子どもたちの表情、仕草などが描かれています。

hの口の、すました顔の男の子、Kの口の、恥ずかしがっている女の子。

それぞれのアルファベットや、子どもたちに、なにか明確な意味が込められて描かれているなんてこともないのですけれど、ページをめくっていると、ほんとうに楽しいんです。

Mの口はこんな子かあ、wの女の子はオシャレだなあ、なんて。

アルファベットは表音文字なのでその一文字一文字が意味や色を持っているわけではないのですけれど、共感覚というのはきっと誰にでも少しはあって、この絵本をめくっていると、そんな不思議な共感覚を柔らかく刺激してくれる気がするのです。

でもこれは、大人よりも子どものほうが、もっともっと楽しめる気もしますね。

文字と意味と音の、不思議な関係、まだその関係がしっかりと固定されていない子どもは、その関係性を遊びの中で、自由に色々と動かしながら、そしてまた自分の口も動かしながら、この絵本を楽しめるのではないでしょうか。

この絵本は作りもちょっと変わっていて、表紙と1ページ目が外せるようになっているので、いわゆる蛇腹絵本/アコーディオン絵本として楽しむことも出来ますし、また、1ページ、1ページに切り目が入っていて、ですのでそれをすべて切り取ってしまえばアルファベットのカードにすることもできるのです。

切り取ってしまうともう本の形には戻せないのですけれど、アルファベットのカードとして、また違った遊び方もぐっと広がりますよね。


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