『おもちゃ籠/おもちゃ籠補遺(1915年/16年)』若尾謹之助

本日は大正五年(1915年)刊行の貴重な和装本『おもちゃ籠/おもちゃ籠補遺』を更新しております。

著者の若尾謹之助(1882年〜1933年)は明治末期から昭和初期の甲府の実業家、政治家で(貴族院多額納税者議員/東京電燈取締役、東京瓦斯取締役など)、本書はそんな若尾謹之助が、自らの幼年時代の甲府の子どもの遊び、歌、玩具などをについて、時折感想を交えながらつらつらと書き記した本です。

目次などがなく、体系的に整理された構成でも無いのですが、エッセイと言うにはあまりに資料的で、学術本としてはあまりに随筆的という、ちょっと不思議な本ですね。

(巻頭で、私は学者ではないので正確性に頓着しない、といったことも書かれています)

巻頭には著者自身による玩具や遊びについての絵も数ページあり、100年以上前の子どもたちがどのように遊んでいたかが様々愉しく想像することの出来る、そして資料としても非常に貴重な本です。

巻末には甲府市の方言一覧も載っており、これもニッチではございますが100年以上前の甲府の方言資料としてもとても有用なのではないでしょうか。

あとがきでは、最近の子供はあまり身体を動かさない遊びばかりで…、頭でっかちで体力は衰えるばかり…(意訳です)と嘆いているのも、100年前から大人というのは子どもに対して同じこと言ってるんだな…と面白く感じられました。

奥付には非売品、との記載もあり、少部数が頒布されただけの本のようですね。

滅多に手に入れる機会のない稀少な本です。ぜひ御覧くださいませ。

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