「あかちゃんだったころ」ウィルビーク・ル・メイヤー Henriette Willebeek Le Mair

こちらは1889年オランダ生まれのウィルビーク・ル・メイヤー(ル・メール)の「あかちゃんだったころ」です。

芸術に関心の強い両親を持った彼女は幼い頃からその才能を発揮し、両親に励まされながらその画才を伸ばしたそうです。15歳の時には両親とともにパリへ赴き、尊敬し、また当時絵本作家として絶大な人気と地位を確立していたブーテ・ド・モンヴェルに会いに行き、アドバイスを貰ってもいます。

その早熟ぶりは素晴らしく、同年には15歳ながらフランスで初めての絵本も出版しております。

こちらの絵本「あかちゃんだったころ」は原書タイトルが「Baby’s Diary」ということからもわかるとおり、一種のベビーブックの作りのようになっております。右ページにイラスト、左ページは書き込めるようにスペースが大きく取られています。

しかし、普通のベビーブックのように自分で書き込んで完成させる本とは違い、右ページのイラストだけで絵本として成り立っております。絵の下に短いテキストが載っており、読みながら絵本を手繰ると幼い頃の幸福な記憶が蘇ってくるようです。

彼女の描く繊細で洗練された構成、それでいてその愛らしい絵は、彼女が師事を仰いだモンヴェルの作風を思わせますが、モンヴェルよりももう少し静的な印象を覚えます。

ひっそりとした、自分だけの記憶の絵を見ているような、そんな不思議な魅力をウィルビーク・ル・メイヤーの絵からは感じます。

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