1897年にスコットランドで出版された、奇書とも言っても良いような、なんとも不思議な魅力を放つ絵本『ANIMAL LAND』が昨年、アメリカの本屋兼出版社である、50WATTSから復刻出版されました。
この絵本の作者は4歳の女の子Sybilとその母親のKatharine Corbetです。
すべての始まりは彼女が3歳の頃、人が誰も住んでいない『ANIMAL LAND』のお話を聞かせて欲しいと、母親にせがみ始めたことでした。
それからは、シビルが自身でその『ANIMAL LAND』にいる不思議な動物たちのことを、詳しく語り始めたのです。
娘が語り、母が描いた、想像上の架空の国の動物たち。
誰も見たことのない、誰も見ることのない、2人の交わす会話の中にだけ生きる不思議な動物たちのカタログ。
それは大げさに言えば神話であり、すべての物語の源の一つでしょう。
私たちがこどもの話に耳を傾けるときの最大の喜びは、子どもたちがまだ確かに楽園(そこには妖精たちが生き、魔法が輝いている)の住人であり、その楽園の言葉を、私たちの使うものと似た言葉で、聞かせてくれるときにあるのです。
彼ら、彼女たちにしか見えない、話せない、世界や生き物たちのこと。
その言葉は、普段は掌に掬った水のようにすぐに溢れてしまうのですけれど、この本はその掬った瞬間を、奇跡的に本の形に留めることが出来た、最良の作品なのです。
ページを開き、最初に登場する生き物は
『The Booba』
添えられている文は
「This is a funny little Animal. It makes no noise and runs」
(小さくて可愛い動物。静かに走るよ。)
不思議な語感の名前(そもそも「名前を付ける」とは、一体何なのでしょう?)と、その動物の姿。
そして短い、動物の説明。
奇妙で、愛らしい。変な動物。
次の生き物は
『The Toop』
「この動物はとっても親切で、みんなのお庭に入ってくるよ。ながーい草だけを、引っこ抜いて食べるんだ」
読み進めれば進めるほど、この奇妙な世界、動物たちへの愛着が湧いてくるんです…。
このように並べられ、組み上げられ創り上げられる不思議な世界『ANIMAL LAND』
この不思議で、魅力的な世界をぜひご覧ください。
ところで、この本はその出版元であるアメリカの本屋、50WATTSがわざわざ当店に連絡をくれて「frobergueのお客さんには絶対喜んでもらえる本です!」と勧めてくれて、取り扱いを始めた本なんです。
日本には当店以外には卸していないとのことですので、日本で買えるのは当店だけでございます。
どうぞご覧下さい。
「ANIMAL LAND」Sybil and Katharine Corbet
0コメント