グラビアンスキーの描く、柔らかく輝く様な色彩が好きなんです。
この人の描く絵を見るたびに、花の季節に思いが飛んで行くように、胸に暖かなものが広がっていく気がします。
この本はポーランドの児童文学作家、イレーナ・ユルギェレビチェーバのお話にグラビアンスキーが挿絵を描いた「しあわせなちょうちょう」です。
ある絵描きと、仲良しの子どもハーニャのお話で、ハーニャの誕生日に絵描きがハーニャのために絵を描くことになったことから話は始まります。
ハーニャのリクエストは
「何かしあわせなものを描いて!」
このリクエストに応えるべく絵描きはちょうちょうを描き、そのちょうちょうに幸せかどうかを尋ねるのです…が…。
絵描きとちょうちょうで、ハーニャのために幸せになるべく、二人で四苦八苦する様子は、滑稽に面白く書かれていながら「幸せとは何か」と言った現代人への批判的な視線もしっかり感じられます。
お話も素敵なんですが、このお話はグラビアンスキーのこの絵がなければ成立しないようなもので、虹色の羽を持ったちょうちょう、リボンのついた家、海を泳ぐ魚、木にとまる小鳥たち、こうした登場するものたちは皆、グラビアンスキーの美しい筆で(それはお話の中では絵描きによる筆なのですが)彩られ、美しく描かれたという幸福を享受しています。
一人の読者としては、こんなに美しく描かれた君たちはそれだけで幸せだろうに…と思ってしまいます…笑
当店在庫商品はあまり状態が良くないのですが、1968年の1刷のものです。
読み聞かせでも5歳位から、ひとりで読むにしても、テキストは9割が平仮名表記すので、小学校に入ったばかり位のお子さまでも十分に楽しめるかと思います。
勿論絵の美しさが素晴らしいので大人の方にもお薦めです!
当店のグラビアンスキーの本はこちらです。
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