切り絵の手法で絵本を作る作家は数多くいますが、その中でもこのチャールス・ミコライカの「九つの泣きべそ人形」は、特に目を引くのではないでしょうか。
アメリカで活動するアーティストですけれど、自分の祖先由来の(両親がウクライナ出身とポーランド出身)ウクライナ地方に古くから伝わる手法、そしてポーランドの切り絵の技法を駆使して、この絵本を作ったそうです。
まず目に飛び込むのはこの鮮やかな色彩ですね。
切り絵というと白黒のイメージなので、コラージュの手法と言ったほうが良いのでしょうか。
様々な質感、色、そして文様の紙を組み合わせ、物語を描き出しています。
そこには独特の流れるようなリズムがあり、まるで音楽が聞こえるようでもありますね。
この色使い、文様のセンスはとても現代的に感じますが、1980年の作品なんですね。2000年以降の作品と言ってもわからない気さえするほどです。
古い民話のようなお話しがこのモダンで都会的な絵によって、不思議な魅力的な一冊に仕上がっています。
こうした現代的な感性のコラージュを使う作家と言うと、ベアトリーチェ・アレマーニャやGwen Le Gacなどが思い浮かびますので(Gwen Le Gacの絵本は近々紹介したいと思っています)、この辺りの作家さんが好きな方にもお薦めですよ。
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「九つの泣きべそ人形」アン・ペロウスキー チャールス・ミコライカ
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