飽きずに、火がゆらゆらと揺れているのをずっと眺めている、するとそこに何か見えそうな気がしてきて、光のなかに、でも何も見えないのですけれど、そういう風に感じることは何度もあって、もしかしたらこういう感じ方というのは、アンデルセンの「マッチ売りの少女」を知っているから、そう感じるのかもしれません。
アンデルセンのお話の中でも特に短く、しかし強烈な印象を読者に与えるこの悲劇の童話は、ここ日本でも多くの方に愛されていると思いますのでお話を説明するのは省きますが、この絵本ではBlair Lentの挿絵によって、この悲劇のお話がより美しく胸に迫るものになっています。
Blair Lentはこの絵本では特殊な技法、カードボードカットという技法を使って絵を描いているそうです。筆では出せない独特の質感のこの絵で、アンデルセンの美しく切ないお話を見事に描き出しています。
色彩も何処か寂しく、その世界は喪に服すかのように薄い黒いヴェールがかかったかのように描かれています。
その黒いヴェールのかかった世界の、星がひとつ天に昇っていく場面の美しさと言ったら…!!
少女の呟く”Now someone is dying,”(誰かが、天国に行ったのね)この言葉とともに読むものの心に突き刺さります。
数あるマッチ売りの少女の絵本の中でも特に美しい絵本ですので、是非オンラインストアでもご覧ください。
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「The Little Match Girl」Blair Lent
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