イングランドの女性絵本作家、マウリーン・ロフィーの絵本が入荷しております。
タイトルは「Tinker Tailor Soldier Sailor」もとはマザーグースの唄のひとつで、この後に「Rich Man, Poor Man,Beggar Man, Thief」と続きます。日本語に直すと「鍵掛け屋、仕立屋、兵士、船員、金持ち、貧乏人、乞食、泥棒」となりますが、石や果物の種で,男の子が将来を占ったり,女の子が結婚相手を占ったりするときの文句として唄われ、親しまれていたようです。日本にも同様の役割の唄が各地方でありますよね。私も小さい頃、左手のゆびの先と付け根を歌いながら数えた記憶があります。
リズミカルにあらゆる種類の人を表すこの唄は、現在でも沢山の国の人たちによって使用されているようで、昨年リリースされたradioheadの新譜にもこの唄が曲名に使われていました。
この絵本は、その唄をもとにした短いお話になっており、タイトルの人物たちがひとり、またひとりとパーティーにやってきます。一人目はやかんを持ってやってきた鍵掛け屋、スーツを新調した仕立屋がやってきて二人目、兵士が行進して登場して三人目、といった具合に、数え歌のように一ページずつ人物が増えていきます。すべて4行でおさめた短い文章の中に、その職業らしさのわかるエピソードで登場させ、韻を踏んだテンポのいい文章が耳に心地よく響くようになっています。例えば一人目の鍵掛け屋のところではfunとone、七人目の乞食のところではheavenとsevenといった感じです。
またポスターなどデザインの仕事もこなすロフィーの、洗練されたフォルムで描かれた愛らしい人物や、沢山登場する人物の衣装の色の見事な組み合わせなど、視覚的な面においても、シンプルで計算され美しさを感じられます。
日本のイラストレーター柳原良平さんのイラストに通じるものがあり、柳原さんの絵を好きな方でしたら、彼女の描く線はきっと好みではないかと思います。
この本でも、文章は夫のバーナド・ロッジが手掛けていますが、同様に夫婦共作で沢山の絵本を出版しており、数点は邦訳もされています。赤ちゃん向けにつくられた絵本が多いですが、このように大人も楽しめるデザイン性の高い作品は特に魅力的です。
英語ですが、簡単な文章ですのでお話まで楽しんで頂けるかと思います。
ご興味ございましたらぜひサイトの方でご覧ください。
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「Tinker Tailor Soldier Sailor」Maureen Roffey
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