今日も素敵な絵本が入荷しています。
アンネ・エルボーの「すきまのじかん」は昼と夜のあいだの時間、夕暮れ時の、時間のお話です。
まだ、あかりをともすほど、くらくもなく
かといって ほんをよんだり ぬいものをするほど
あかるくはない じかん。
ほんをひらいたまま、ページのなかの じは、ぼんやりとみえるだけで
ひとは、ものおもいにふけり、うっとりと、ゆめをみるのです。
それは、おおかみでなければ、いぬでもないような じかん
かげのぶぶんは、まだほんのすこし かがやきをみせ、
じめんはくらく、そらは、ほんのりとあかるい
すべてのものが しずかな
あおいせかいの おとずれをまっているじかん。
まるで詩のような文章で始まるこの絵本は、擬人化された「すきまのじかん」が夜と昼のあいだで恋をするお話です。
日本語の翻訳はすべて平仮名(と片仮名)で書かれているので、子どもへ向けた絵本の意図があるのかもしれませんが、個人的には大人の方のほうが、読むとすっと心のなかに入ってくる絵本のような気がします。
アンネ・エルボーの描く絵も、その繊細で、それでいて拙くも感じる線は、柔らかさ、暖かさ、そして何処か冷たさをも感じる、大人がその洗練さに気付く絵でもあるように感じます。
詩は、普段本を読まない人こそ、読むべきだと、管啓次郎さんは言っていました。(たしか、高橋源一郎さんも似たことを書いていたような記憶があります)
このアンネ・エルボーの絵本も、普段本を読まない大人の人にこそ、響くような、そんな気がする本のひとつです。
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「すきまのじかん」アンネ・エルボー
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