私が子どもの頃にこの絵本を読んでいたら、この絵本の作者のことを天才だと思ったに違いありません。
自分が眠るベッド、眠い目をこすって夜潜り込み、まだ柔らかいベッドの中で眠っていたくてぐずぐずとしたベッド。
風邪を引いて学校を休んだ時にはベッドの中からテレビを見た、そんな、大好きなベッドが、もっと素晴らしい形で数々描かれているからです。
シルヴィア・プラスとクウェンティン・ブレイクの絵本「おやすみ、おやすみ」は長田弘さんによる「詩人が贈る絵本」のシリーズの中の一冊です。
作者シルヴィア・プラスは絵本の最初にこう言います。
この世は いろんなベッドで いっぱい。
それは
のんびり魚釣りを出来るようなベッド
ねこねこ猫でいっぱいのベッド
火星に向かってジェット噴射するベッド
潜水艦のベッド
スナック・ベッド
ハンモックのベッド持ち歩けるベッド
象の背中のベッド
そんな様々な素晴らしいベッドがクウェンティン・ブレイクの踊るような線で、まるでベッドがそのまま動き出すかのように描かれているのです。
それはベッドの中で眠って見る夢のようで、そして飛び切りの発明に思えます。
こうだったら良いのになあ、という一番最初の夢、ベッドの中で思い描いていたあれやこれやの夢想が、そのまま絵になっているんですから、びっくりして、きっと子どもの私は、そのままベッドでペンを取り絵を描き始めたに違いありません。
まだ発明されてないベッドの絵を。
夢が始まるはいつだってベッドから、もう大人の私は少しだけ俯瞰してそんな風に思い、それでも今日眠る時には、まだ思いついていないベッドの姿を思うかもしれません。
本日はこの、長田弘さんによる「詩人が贈る絵本」のシリーズが幾つも入荷しております。以前紹介したナンシー・エコーム・バーカートの「十月はハロウィーンの月」時計じかけのオレンジのアントニー・バージェスによる「アイスクリームの国」などもありますので、是非オンラインストアで御覧ください。
当店在庫はこちらです。
「おやすみ、おやすみ」シルヴィア・プラス クウェンティン・ブレイク
0コメント