男の子の兄弟って仲が良いのか悪いのか、傍から見るとよくわからないことが多いのですが、その本人たちだって、心の底でどう思っているのか、はっきりと分かってないのではないのかな、と思うことがしばしばあります。
このアーノルド・ローベルとジュディス・ヴィオーストによる絵本「アントニーなんかやっつけちゃう」はそんな男の子の兄弟のお話です。
このお話の主人公である弟は、お兄ちゃんのアントニーにいつもいじめられています。
本を読めるくせに僕には読んでくれないし、ともだちのブルースとゲームを始めると混ぜてくれないであっち行けと言い、ぼくはスヌーピーのシャツを貸してあげるのにお兄ちゃんは刀を絶対に貸してくれない。
アントニーはほんとうはあなたのことを好きなのよとお母さんは言うけれど、アントニーは僕のことをほんとに嫌なやつと思ってるっていうんだ。
ぼくがむっつになったら、アントニーなんかやっつけちゃう。
この宣言(?)の後には、弟が兄のアントニーにどんな仕返しをしてやるか、千差万別、ヴァリエーション豊かな、愉快で可愛らしい仕返しの方法が滔々と述べられます笑
ぼくがむっつになったらアントニーはふうしんにかかって、ぼくだけおとうさんと野球を見に行くんだ。
ぼくがむっつになったらスキップきょうそうをやって、ぼくがかっちゃう。
ぼくがむっつになったら、しんぶんをよむのに、アントニーはまだABCなんか読んでいる。
アントニー、きみはせんきょで誰に投票する?ってぼくは聞いてやる。
これでもかこれでもか、と溢れ出てくる可愛らしい仕返しの方法には思わず笑ってしまいます。
お話の最後まで仲直りしたりはしないのですけれど…何故か読後感もスッキリと気持ちよく、楽しい気持ちのままこの絵本を閉じることが出来るのは、この語り口とローベルの優しさの溢れた絵によるものでしょうか。
ローベルは登場人物たちの柔らかく温かい関係を描くのがほんとうに上手ですね。
ほんとうは仲良いんだよね?
そう聞いたら、弟くんには、アントニーと?仲いいわけ無いじゃないか!と絶対怒られると思うのですが….たぶん仲が良いのだと思います。
神話の時代から多く語られているように、男の兄弟と言うものには不思議と不可解が満ちています。
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「アントニーなんかやっつけちゃう」アーノルド・ローベル ジュディス・ヴィオースト
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