「せかいをみにいったアヒル」マーガレット・ワイズ・ブラウン 文 イーラ 写真

42年という短い生涯の中で、様々な素晴らしい絵本作家たちとともに多くの名作絵本を作り、そして今でもその作品の多くに新しい絵本作家たちが挿絵を付け作品が作られてるマーガレット・ワイズ・ブラウン、そしてまだ写真があまり一般的ではなかった時代に動物を専門に撮った動物写真の先駆者イーラ。このふたりによる写真絵本がこの「せかいをみにいったアヒル」です。

一羽のあひるがある日思い立ちます。そうだ、世界を見に行こう!そうして、まだアヒルのことなんか知らない人たちに、僕のことを知ってもらうんだ!

早速出掛けようと友達の犬に相談すると、それなら動物園が良いだろうと教えてくれます。あそこには色々な動物がいるからね。

行ってみるとそこにはライオン、トラ、チンパンジーにニワトリ、そんな動物たちがたくさんいて...。

イーラの写真にワイズ・ブラウンがお話をつけたこの絵本は、動物たちが「そんな風に見える」と言う人間の思い込みを基に作られたものです。

アヒルが笑っているように見える、犬と仲良くしているように見える、歌を歌っているように見える、それは結局人間の思い込みに過ぎないのでしょうけれど、それでもそうした思い込みは動物たちへの愛情の基礎となっているに違いありません。

そうやって動物たちを人間の物語で包み込むこと(その物語に悲劇ばかりを見ることも出来るのですが)、 そしてそれを異なるものへの思いやりや理解の助けにすることは、決して意味のないことではないとこの絵本を読んでいると思わされます。

ワイズ・ブラウンは子どもたちを見るように動物たちを見ている気がします。自分たちの、大人たちのある理想の一欠片をそこに写し、愛情で包み込んでいるようなんですね。

写真絵本なんて言うと少し変わった趣があるように感じられてしまうかもしれませんが、絵本としての魅力がたっぷりの、素敵な絵本です。


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