この「うさぎのマシュマロ」をはじめとしてコルデコット賞(オナー賞を)4度も受賞しているクレア・ターレー・ニューベリーは、いつも猫を中心に身近なペットとしての動物たちを、愛情たっぷりに描いた絵本を作っています。
「うさぎのマシュマロ」の主人公は猫のオリバーとうさぎのマシュマロの二匹が主人公です。
オリバーは生まれてから一度も外へ出たことがなかったので、家の中にあるもののほかは何も知りませんでした。
ある日、飼い主のティリーさんが「あなたをびっくりさせるものがあるのよ」と言ってふわふわのうさぎの赤ちゃん、マシュマロを連れてきたのです。
そんな生き物がいるなんて、とびっくりしたオリバーは怖くて怖くて部屋の隅で縮こまってしまいます。
オリバーがあまりに怖がっているので、同じ部屋で飼うのは無理かもしれない、とティリーさんは二匹を別々の部屋に分けて飼い始めるのですが…。
ニューベリーの作品の根底にはいつもリアリズムがあります。
動物たちがお話の都合の良いように擬人化されたりなどせず、その動物たちの出来ることの範囲で、人間に物語を、その感情を語ってくれるのです。
それは彼女の描く動物たちの姿も同様で、愛らしくも全く自然に描かれているのですね。
これは彼女がその身近な動物たちをとてもよく観察していたからに違いありません。
何も話さない動物たちも、その表情や動き、ちょっとした仕草で多くのことを語ってくれるのが、この絵本でも同様に感じられるのですね。
そしてこの絵本全体には優しい空気が、温かい愛情が常に流れています。動物たちへ向けられた愛情は、例えば反転して人間たちへの皮肉などになっていることもなくただ、このちいさな世界全体を包むシンプルな愛情としてこの絵本の中にあります。
読んでいるだけでただただ、幸福な気分に満たされる、珍しい絵本かもしれません。
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「うさぎのマシュマロ」クレア・ターレー・ニューベリー
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