ちょうどひと月ほど前にアメリカの絵本作家ダーロフ・イプカーのアルファベットブックの絵本を紹介させて頂きましたが、今日はそのイプカーのクリスマス絵本を紹介いたします。
「My Wonderful Christmas Tree」という絵本です。
2013年には「わたしのすてきなクリスマスツリー」として日本語にも翻訳されています。
1917年生まれのイプカーですが、2015年の98歳時のインタヴュー記事も出てくるので、まだご存命のようですね!
未だなお絵を描き続けているようですが、この絵本は1986年に出版され、この作品がイプカーの出版した最後の絵本になっています。
この絵本はシンプルな脚韻を踏んだ詩に、イプカーの絵が添えられています。いや、逆にイプカーの絵に詩が添えられていると言ったほうが正確かもしれません。
クリスマスの夜、窓の外に見えた、素晴らしい光景、素晴らしいクリスマスツリー、その光景が詩となり絵となって、描かれています。
わたしは見た
クリスマスツリーの上には 光を放つ星が一つ 輝いている
わたしは見た
ツリーの高いところには 二頭の黒い熊 ふわふわして暖かそうな毛の熊が
わたしは見た
そのすぐ下には三匹のヤマネコ ピンと張った耳 金色の目を見開いて
わたしは見た
四匹のヤマアラシ その棘をまとって 幸せそうに丸くなる
こんな風に樅の木の三角形をあらわすように、そのクリスマスツリーの中にいる動物たちが数とともに描かれています。
すべての動物がつがいで乗ったノアの方舟をどこか思わせもしますね。
空間的に縦方向の運動に意識が向けられている点からは、キリスト教的な厳かな感触も受けるのですが、イプカーの優しい絵によって、その神聖な感じが親しいものに感じられるから不思議です。
ワイワイ過ごすよりも、静な気持ちでクリスマスを過ごしたい方にはぴったりのクリスマス絵本です。
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「My Wonderful Christmas Tree」Dahlov Ipcar
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