引き続き当店店内では片山令子さんの「惑星展」を開催しております。
展示をさせていただいているものの中には、片山令子 文/片山健 絵の「おつきさまこっちむいて」の第一稿などもございます。
もうこの絵本を読んだことのある方に面白く感じられるのは、片山令子さんのメモと言いますか指示が、余白に色々と書かれているところでしょうか。
お話の中のこの場面の月が何時くらいのものなのか時間なども書いてあったり、その場面もどういった場面なのかも、細かく書いてあったりととても興味深いですね。
どのようにして絵本が形になっていくのか、その過程を垣間見ることが出来ます。
「おつきさまこっちむいて」はこのお二人の絵本作品の代表作の一つと言えるでしょうか。
子どもがお月さまを見上げ、語りかける、そのスタイルでページは進んでいきます。
お腹の空いたようなほそいほそい月から始まって、段々と月齢を重ね大きくなっていくお月さま。
見上げる子どもの色々な時間、色々な場所の、天気の、空を見上げればあったお月さまの姿。
静かに、穏やかに進んでいく絵本の中の時間。
絵本を読んだ人は、自分の記憶の中の幾つかの月の姿を思い出すのではないでしょうか。
私が思い出したのは、まだ5歳か、6歳の頃、幼稚園でお泊り会があって(もしかしたらその時が初めて家族のいない場所で過ごした夜かも知れない)、大きな教室で布団を並べて皆で眠っていたのですが、夜中にトイレに行きたくなって目を覚ました、その時に、なんだか窓の外が明るいなと、皆が眠る布団を避けながら窓へ近づき見上げた、まあるいお月さまでした。
今でもよく覚えている、あれが初めてお月さまのことを意識した出来事だったと思います。
お月さまってこんなに明るいんだと、起きている子どもの誰もいない夜の教室で、一人ぼっちのはずなのに不思議と怖くなかった、そんな出来事でした。
皆さんはこの絵本を読みながら、どんなお月さまを思い出すでしょうか。
どんな場面で、誰と居た、どんな姿のお月さまだったか…。
優しい記憶へと誘う、素敵な絵本です。
どうぞ当店オンラインストア、店頭でも、御覧頂けたら嬉しいです。
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