「しあわせなふくろう」チェレスチーノ・ピヤッチ

あるところに仲の良いフクロウの夫婦がいました。夫婦は幸せに暮らしていましたが、その側で暮らしている百姓の家で飼われているいろいろな鳥達、ニワトリ、ガチョウ、クジャクにアヒル、は毎日食べて飲んで喧嘩して、そればかりです。

ある時その鳥達はフクロウの夫婦を見て「どうしてあの二人は喧嘩をしないのだろう?もしかするとあの夫婦は幸せなのかもしれないぞ」そう思い、皆でフクロウに話を聞いてみようと、フクロウに尋ねるのです。

フクロウの夫婦は話し出します。

「春の美しさ、何万という花が開き、何もかもが喜びの声を上げる季節、虫達も目覚め、花から花へと舞います。全てが美しく輝く夏になれば、私たちは緑の森へ飛んでいきます。深い森のなかの静かな木かげにとまっていると、安らかな気持ちになります。そしてやがて秋になり、、、」

フクロウの夫婦はそうした喜びや幸福を語るのですが、鳥達にはわかってもらえません。それなら毎日食べて飲んで喧嘩してたほうが良い、と行ってしまうのです。

この絵本「しあわせなふくろう」のなかで、結局フクロウと鳥達は価値観を最後まで分かち合うことが出来ません。フクロウたちも去っていく鳥達を引き止めることもしないのが少し淋しいですが、このことも含めて、考えさせられる絵本です。

チェレスチーノ・ピヤッチの描く絵も不思議な魅力を持った絵で、何処と無く日本の作家を思わせるような感覚を持っています。黒の水彩?が墨を思わせるからでしょうか。

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