当店でも度々紹介している、フランスのイラストレーター、Gwen Le Gac。
以前にも言ったかもしれませんが、現代のフランスのアーティストの中では当店で一番推している作家でございます。
その作品はどれも素晴らしいのですが、作品によって手法も様々で画風もかなり変わりながらも、センスがどの作品からも一貫して感じられます。
現代的な感覚を持ちつつも、クラシックな絵本ファンの方にも響くような絵で楽しませてくれるんです。
こちらの絵本「Le Terrible six heures du soir」はお話を手掛けているのは作家でもあり、映画監督でもあるクリストフ・オノレですね。
不思議な、寓意を多く含んだようなお話です。
一つの家族、恐ろしい父親を持った、その家族。
その家族は王家の者たちとして語られ、皆その父親に怯えています。
ステファヌ王、王妃ナタリー、王女スザンヌ、マドレーヌ、王子エリック…。
それぞれの人物たちはみな獣たちのマスクを被り、表情は伺えません。
この父親の恐怖から逃れるための、家族の逃亡の物語?
なにか神話の演劇のようにも読める、不思議な絵本作品です。
アルゼンチンの仮面を参考にして描いたという、それぞれの人物が被る仮面はこの物語に独特な不穏な空気を与えています。
顔は仮面で覆われているのですが、人物は皆薄着なのも何処か怖いような、それらは演じられたものであるかのような、不思議な感触を覚えるのです。
マスクなどの、こうした要素からプリミティブな、土俗的な力強さも感じるのですけれど、作品全体としては現代的なセンスを強く感じるのは、やはりこの作家独特のものではないでしょうか。
デザイン性、ファッション性とでも言えるかのような、その感覚、表現。
古典の力強さと、新しさを持った、とても魅力的な作品だと思います。
ぜひオンラインストアの方でも御覧ください。
Gwen Le Gacの絵本はこちらです。
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