「CONTES DE PERRAULT & CONTES DE MADAME D'AULNOY」Eva Bednarova

当店では度々入荷していたのですが、紹介をさせて頂くのは初めてだったでしょうか。

Eva Bednářová(エヴァ・べドナージョヴァー)、1960年〜70年代を中心に活動した、チェコの絵本作家ですね。1969年にBIBのグランプリも獲得している世界的な評価も高い作家ですが、日本では知られざるマイナーポエットの作家にとどまっているかもしれません。日本語訳もあまりなく手に入りづらくなってしまっています。

こちらはフランス語版のシャルル・ペロー(10のお話)とドーノワ夫人(4つのお話)の童話集に、べドナージョヴァーが挿絵を描いた本です。

ペローの有名なお話、例えば「眠れる森の美女」や「赤ずきんちゃん」「長靴をはいた猫」「シンデレラ」などが収録されていますが、べドナージョヴァーの手に掛かれば、よく知ったそんなお話も全く違った顔を表すのです。

例えば写真に上げた一枚目の絵。

これは眠れる森の美女の挿絵です。

不気味に浮かぶ手と、咲き誇る(つぼみ?)赤いイバラに包まれた、何か大きなモノ(お城?)。

このお話を象徴的に描いた、不思議な絵です。

チェコにはシュルレアリスムの流れを汲んだ、幻想的な絵を描く作家が多くいますが、べドナージョヴァーもその一人と言えるでしょうか。

古い物語の中に深く沈み込んでいた部分を浮き上がらせ、目の前に差し出していく。

どの絵からも、そうした古い物語の持つ強と怖さが滲み出ています。

一見不気味で、けれど何処か可愛らしさをも持っている、そんな特別な絵を描くことの出来る特異な作家だと思います。

ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。

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