宮沢賢治の作品を大人になってから読みましたか。
国語の教科書に載っているので、小学校の頃には誰もが彼の作品には触れたことがあるかと思います。
それは、幼い心に初めて清貧というものを短い言葉で示した「雨ニモマケズ」だったでしょうか、それとも、淡い死の匂いを思春期の胸の中に刻んだ「銀河鉄道の夜」でしたか、または透き通るような言葉で口ずさむことを楽ませてくれた「やまなし」だったでしょうか。
余りに国民的な作家であるが故に、もしかしたらその教科書での出会い以来、ほとんど読んでいないという方も割りと多いかもしれません。
ですが宮沢賢治の童話作品は数多くが絵本になっていますので(きっとこの投稿を見て頂いている方は絵本好きの方が多いと思いますので)絵本で読んでいる方も多くいるかと思います。
私もきっとそのひとりで、宮沢賢治の作品を絵本で親しむことが多い気がします。「いちょうの実」「なめとこ山の熊」「注文の多い料理店」などは以前紹介させて頂きました。
たくさんの作品が絵本になっているのですが、宮沢賢治の詩作品に関しては、絵本になっているものはそう多くないのではないでしょうか。
ですので、この小林敏也さんの画による「賢治宇宙」は貴重な絵本かもしれません。
この宮沢賢治の詩と小林敏也さんの画による一冊は、本を開けばそこには題のごとく、宇宙が広がっています。「春と修羅」の
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
という言葉からその宇宙は始まり、森を越え、雪原を走りぬけ、季節を巡って、別れや星を歌い、雨に打たれます。
小林さんの画は、賢治の言葉に寄り添うように響きあい、融け合って、この画と言葉で、一つの宇宙が出来上がっているのです。
お子様から大人まで楽しめる童話作品とは違い、ある年齢以上でないと難しいかもしれませんが(幾ら早くても中学生以上でしょうか)、もう大人になっていて、深く、宮沢賢治の言葉の宇宙に浸りたい方には、格好の一冊だと思います。
画を描いている小林敏也さんは画本宮澤賢治シリーズとして多くの宮澤賢治作品を描いています。当店にもこの「賢治宇宙」のほかに「どんぐりと山猫」の在庫もありますので、是非こちらもご覧ください。
当店在庫はこちら
「賢治宇宙」
「どんぐりと山猫」
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