所謂今で言う「デザイン」の感覚、絵本において言えばその起源はやはりこの時代のロシアの絵本にあるのだと思います。
こちらはウラジミール・レーベジェフ(レーベデフ)とサムイル・マルシャークによる、ロシア絵本の黄金時代(1920年代)を彩る1冊、英語復刻版の「BAGGAGE」です。
初版は1926年。こちらはTATEから出版された2013年のイギリス版(ハードカバー)です。
レーベジェフは1920年代を中心にマルシャークとともに幾つもの傑作絵本を生み出した、この1920’sのロシア・アヴァンギャルドを代表するアーティストの一人です。
サムイル・マルシャークは日本でも多くの作品が翻訳されているので、読んだことのある人も多いかと思います。20世紀のロシア児童文学の第一人者ですね。
お話はあるご婦人の列車旅行(ロシアっぽい!)の、荷物に関するてんやわんやの短いお話です。面白おかしいお話が韻文で語られているのですが、でも、やはり見ていただきたいのはこの絵です。
この時代のロシア絵本を知っている方には、やっぱり良いな、と思って頂けると思いますし、この時代のロシア絵本を知らない人には強烈な驚きを与えてくれるのではないでしょうか。およそ100年前のイラストレーションのこのモダンさ!
タイポグラフィ、文字の配置を含めた画面構成、色使い、絵の記号性の利用。このスタイリッシュさは何なのでしょう。
種がまかれ、花が咲き、しかしまた摘み取られてしまう、抑圧と解放が繰り返されたロシアの芸術の輝き。
比較的手に入りやすく、読みやすいこちらの英語版でぜひ御覧ください。
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