この「ちいさいおしろ」の作者サムイル=マルシャークは詩作、そしてシェイクスピアのロシア語への翻訳などからその創作活動を始め、そののち子どものための作品も多く手がけ、やがては20世紀のロシア児童文学を代表する作家となりました。
日本でもマルシャークの児童戯曲「森は生きている」は数十年前から今に至るまで親しまれ、子どもの頃に何処かで見たり、または自分たちでこの劇を演じた方も多くいるのではないでしょうか。
こちらの「ちいさいおしろ」も子どものための戯曲作品で、小さな動物たちが活躍し、協力し合い、ずる賢いオオカミやキツネを退治するお話になっています。
お話の大筋はよくある典型的なお話ですが、リズミカルな言葉、そして歌うようなリフレインはお話を聞く耳には楽しく、このシンプルな物語をより一層愉快なものにしてくれています。
何より素晴らしいのはこの1967年日本語版の絵を手がけている滝平二郎さんの切り紙による挿絵です。
日本の昔話の印象が強い滝平さんの絵ですが、この本では原作のロシアの雰囲気を感じさせるような動物たちの着る衣装が描かれ、一目では切り絵とは思えないような、繊細な表現もなされています。
この「ちいさいおしろ」は2007年には「小さなお城」としてユーリー・ワスネツォフの絵の版が発売されていますが、滝平さんの絵による旧版は長らく絶版となっています。
探されている方もいるのではないでしょうか。
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「ちいさいおしろ」
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