「ぼくがとぶ」佐々木マキ Sasaki Maki

人は何故飛ぶのか?

わかりませんが、今までに多くの人びとが飛行の願望を持ち、空への憧れを抱き続けたことは、間違いないでしょう。

例えばそれを、日本で暮らす私には宮﨑駿さんの諸作品に見たり、また稲垣足穂の作品からも読めることでしょう。

そしてもう一人、サン=テグジュペリも、忘れてはいけないひとりかもしれません。

こちらの絵本、佐々木マキさんの「ぼくがとぶ」は、今挙げた作家たちにつらなる、飛行への夢を描いたとても魅力的な一冊です。

一番最初に「ぼくが何を作っているか きみはわかるかい」ではじまるこのお話の中に、何故飛ぼうとするのかは何も描かれてはいません。

ただ、飛行機を作るのです。

最初は失敗して、墜落してしまいます。

もう一度やり直して、今度は成功、空から両親に手を振り、街を越え、砂漠を越え、星空の下を飛び、海をも超え、そして辿り着いた場所は、、、

佐々木さんの得意とするユーモアとSFの感覚が描かれたとても楽しい絵本です。飛行機を作る場面では細かな、何に使うのかよくわからない部品がたくさん描かれているのも面白いですね。こういうスチームパンク的な側面は男の子が好きな部分なのでしょうか。

つい先日も、飛行機の窓から見える地上に、それはイランの山に雪がかかり、浜辺の集落に少しの明かりが見えたりするのを眺めると「ああ、いま、大空から、遠い異国の地を眺めている」と、とても不思議な気持ちになりました。

この絵本で何度も繰り返される言葉があります。

「ぼくはとんでいる」

この言葉は、もしかしたら、どうして飛ぶのか?という問いへの、何よりの答えなのかもしれません。


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「ぼくがとぶ」

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