こちらはブルーノ・ムナーリの「gigi has lost his cap」と「il prestigiator verde」です。
それぞれ英語版とイタリア語版ですが、日本語版で「ムナーリの1945シリーズ」として「ジジはぼうしなくした」「みどりのてじなし」としてともに発売されているものです。
ムナーリの得意とする、「ページをめくること」という本を読む仕組み(運動)を「仕掛け」として最大限に活用した絵本のシリーズです。
ムナーリの絵本を読んだことのある方ならすぐにわかると思うのですが、読んだことのない方には言い方が少し分かり難かったかもしれません。
本のページをめくるということは、つまりは、次のページが隠されていて見えない、ということでもあります。当たり前のことですけれど。
その誰も意識しないような当たり前を、ムナーリはとても上手に利用するのです。
例えば「ジジはぼうしなくした」では、失くした帽子を探す→帽子が何処かに隠れている→読み手がページをめくって帽子を探す、という仕組み(内容とメタ的なもの(読み手)が重なる)をムナーリが作りだしています。
こうやって読み手が積極的に本の世界へ入り込めるようにな作りになっているのですね。
グラフィックデザインだけでなく、プロダクトデザインの分野でも活躍し、また芸術の造詣も深かったムナーリならではの仕掛けではないでしょうか。
また「il prestigiator verde(みどりのてじなし)」も、そのタイトルからわかる通り、隠されたものを見つける、という仕組みになっています。手品師というものは観客から何かを隠す者ですからね。
ムナーリが手品師になって、絵本を使って楽しませてくれるのです。
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