「MERRY ENGLAND」Cyril Ray
エドワード・アーディゾーニが挿絵を描いたこの本は、絵本だったり、物語ではないんです。
作者のCyril rayはジャーナリストです。
戦後のソビエトを長く取材した後、彼がようやく帰ってきた母国イギリスで見た、人々の姿、イギリスの生活のことをエッセイとして(ジャーナリストなのでルポタージュ的なのですが)書いたものなのですね。
1950年代のイギリスの様子、人々。
タクシーの運転手、サーカスの芸人、コインランドリーで会う客、アイススケート場、マダム・タッソー蝋人形館。
今となっては、もう過ぎ去ってしまった、過去の人々。
アーディゾーニのイラストもそうしたノスタルジーを誘う、フルカラーではない二色刷の絵で、ページを捲る指を、自然とゆっくりとしたものにしてくれます。
50年代のイギリスと言ってもピンとこないかもしれませんが、今年日本で公開された映画「マイ・ブックショップ」、あの映画がちょうどその頃の時代設定ですね。
フィクションではない題材で絵を描くと言った絵本作家はあまりいない気がしますけれど、大戦中に画家として従軍し、戦地のスケッチなども描いていたアーディゾーニならではの仕事とも言えるかもしれません。
アーディゾーニの絵本が好きな方、アーディゾーニのこうした仕事も是非見てみてください。また違ったアーディゾーニが発見できると思います。
ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。
当店のアーディゾーニの本はこちらです。
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