「MON VILLAGE」「L’HISTOIRE D’ALSACE」l'Oncle Hansi

本日はフランス/アルザスの絵本作家アンシの大きな絵本を二冊更新しております。

「MON VILLAGE」は以前に1910年代の刷のものをご紹介させて頂きましたがこちらは2006年の復刻版です。

復刻版と言っても、チープな感じは全くなく、全体の造り、中の紙もとても良い感じです。

もう一冊は「L’HISTOIRE D’ALSACE」

絵はアンシとHUENの二人で手掛けているアルザスの歴史絵本ですね。こちらも1995年の復刻版ながら(初版は1912年)しっかりとした造りになっていて、大型の画集ほどの判型で本としての存在感も強いです。

ローマ帝国以前からのアルザスの歴史が美しいイラストともに学べる一冊にになっています。

以下は、以前紹介した時の文章ですが、もしお時間あれば読んでみてください。


「MON VILLAGE」この絵本は1913年に出版された、l’Oncle HANSI(アンシ)の子供時代を回想する、憧憬に満ちた絵本です。「MON VILLAGE」(わたしの村)というのは勿論アンシの愛するアルザス地方のことです。

歴史的な背景を考えると1870年の普仏戦争以来、ドイツ/プロセインに占領されたこの地方をフランス寄りのナショナリズムで染めた絵本と言ったものなのですが、そうしたものを抜いてみても、このアルザスと言う特異な文化圏の風俗、民族衣装を楽しむことができる、美しい絵本です。

100年の時を経た今、このアンシの絵本を見ると、その政治的な背景は遠くへ霞み、見るものを楽しませてくれるのは、子どもたちの楽しそうな様子や、衣装、お祭りの風景などです。

制作当初は勿論アンシは、その動機にフランスへの愛情、そしてドイツへの否定的な感情があったのは疑いようもありませんが、そうしたものを超えて、長い年月が経った今残っているものは、今なお読者に喜びを与えてくれるものは、政治的なものではなく、彼が大切にしていた、ただの、美しさと喜びに包まれた、ただの思い出なのだと思うのです。

このことを思うと、芸術とは、全く社会的なものではなく、とてもとても個人的なもの、個人の奥深くへ潜っていくことによって、多くの人と繋がることが出来るものなのではないかとさえ、思えてきます。

ページをめくれば、アンシの思い出が、そこには溢れています。

光の差す、幸福な子ども時代。

すると読者の記憶の中の子ども時代にもいつの間にか光が差し、照らされ、その幸福な時代を追体験させてくれるのです。

是非オンラインストアの方でも御覧ください。


当店のHansiの本はこちらです。

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