バーナデット・ワッツについてはお話したでしょうか。個人的にはワッツの作品には2種類の絵の傾向があると思っています。
ひとつは可愛らしく親しみやすい絵柄、そしてもうひとつは風景が主体になった芸術性の高い画風、その中間のような作品も見られますが、例えば後者の代表は「ヨリンデとヨリンゲル」前者の代表は「おじいさんの小さな庭」などでしょうか。
個人的な好みはありますが、そのどちらが優れているというわけでもなく、それぞれワッツ独自の魅力なのだと思います。
こちらの絵本「イソップのお話から」は先程のカテゴライズだと後者に入るのでしょう。
見開き1ページの片側にワッツの絵、片側にイソップのお話が1話という構成で作られています。ページによって異なりますが、画面の枠までワッツの装飾によって彩られ、美しい物語世界を見せてくれます。
ワッツの描く自然は、その色や線の美しい画面以上に魔力めいたものを持っています。絵の中に吸い込まれていってしまいそうな、不思議な感覚を覚えるのです。
小さな頃からいろいろな絵本を読んできましたが、今でもはっきりと当時の読んだ感覚を覚えているのはこうした絵の魔力を持った本で、高揚感を持って思い出すことが出来ます。
こうしたことも優れた絵本の一つの基準なのではないでしょうか。とてもおすすめの絵本ですよ。
当店在庫はこちら「イソップのお話から」
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