クリスチーナ・トゥルスカの「月へいった魔術師」はポーランドのパン・トワルドフスキという貴族の物語が元になっているそうです。
16世紀のこの人物はポーランドのファウストとも呼ばれ
クラコフの有名な錬金術士、占星術師だった男です。
しかし研究に熱中する余り、おかしな人物と言われるようになり、黒魔術師と噂されるようになったそうです。
この人物の伝承はポーランド民話の中に幾つもヴァリエーションを持って伝わり、この「月へいった魔術師」もその中のひとつなのです。
ある高名な魔術師が、自分の力より大きなものを手に入れようとして悪魔と契約を交わし、そして最後には月へ行くという話です。
ちょっと変わっているのは、終わり方がハッピーエンドでもバッドエンドでもない、不思議な終わり方をしていることでしょうか。
悪魔との駆け引きの末、悪魔からは逃れられたものの、月でひとりっぼっち、一匹のクモと一緒に月に座り続ける魔術師の姿には不思議な感慨を覚えます。
絵を描いているクリスチーナ・トゥルスカも、レトロな感覚を呼び起こさせ筆致で、魔術の飛び交うファンタジーの森へ迷い込ませてくれます。
クリスチーナ・トゥルスカの絵本は数冊翻訳されております(「月へいった魔術師」「きこりとあひる」など)が、只今当店ではこの「月へいった魔術師」と同書英語版の「THE MAGICIAN OF CRACOW」そして「THE WOODCUTTER’S DUCK(「きこりとあひる」の英語版)」の3冊の在庫がございます。
とても魅力的な絵を描く作家さんですので、気になりましたら是非オンラインストアで御覧ください。
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