先週の世紀末芸樹/ユーゲントシュティール系の本で更新したものの中で、こちらはハインリヒ・フォーゲラーの、インゼル文庫から出た三冊です。
ハインリヒ・フォーゲラー(1872〜1942)はドイツ/ブレーメン出身の画家で、ヴォルプスヴェーデ派の画家、デザイナーとしても知られています。
詩人のリルケなどとも交流があり、また日本では雑誌「白樺」で1910年頃から紹介され存命のころから注目をされていたのですが、今では忘れられた画家になってしまっているでしょうか。
その波乱の生涯は、とても短い文章では書ききれません。リルケとの出会い、第一次世界大戦へ志願兵として参加、その後ソ連への亡命、最後はシベリアへ送られ獄死、処刑されたとも言われています。
芸術家として幸せな時代を過ごしたのは、ヴォルプスヴェーデで暮らした19世紀後半から1910年頃、第一次世界大戦が始まるまででしょうか。
この3冊も、すべてこの頃に作られた作品です。
自作の愛の詩画集「DIR」(あなたに)は1899年の作品で、画家自身による詩と、絵、そして装飾からなる、美しい美しい、詩画集。
「Jorinde und Joringel」はグリム童話集、8つのグリム童話、ヨリンデとヨリンゲルや星の銀貨などにフォーゲラーが挿絵を描いた、子供のための、これもまた美しい童話集です。
「Der gluckliche Prinz und andere Marchen」はオスカー・ワイルドの「幸福な王子」や「わがままな大男」などに挿絵と装飾を描いたものです。フォーゲラーの絵、そして装飾文字からはアーツ&クラフツ〜アール・ヌーヴォーの影響が(彼はまさにその時代の中で芸術家として活動したのですが)伺える一冊ですね。
インゼル文庫の美しい装丁と調和したフォーゲラーのこれらの本は、この忘れられた芸術家の作品を今に伝える、美しく、そして素晴らしい本です。
是非オンラインストアの方でもご覧ください。
当店のハインリヒ・フォーゲラーの本はこちらです。
0コメント