なんだか真夏のような日が続いていて、そうなるとたまに降る雨が嬉しかったりもするのですが、そんなことを思っているうちにあの憂鬱な梅雨がやってきて、連日の雨にうんざりしたりするのでしょうね。
でも、そんな時期にこんな本を読んで過ごしてみては、とおすすめしたい本があります。
「RAIN MAKES APPLESAUCE」
タイトルの響きに、もうこの絵本の愉しみが凝縮されているように思うのですが、この本の中には見開き1ページごとにクスッと口もとが緩んでしまうような、ちょっと嬉しい気持ちになるような詩が一編。そして、その後に必ずタイトルのフレーズが続きます。
例えばこんな感じです。
The stars are made of lemon juice
and rain makes applesauce
Dolls go dancing on the moon
and rain makes applesauce
華やかで優しい色彩で、そんな空想世界を次々に描き出し、そしてページの隅では少しずつ雨の力を借りてアップルソースづくりが進んでいきます。
子どもが思い描くよう、こうだったら、こうだったら、と自由に創造される世界。リズミカルに言葉を紡いだのはジャーナリストとしてそのキャリアをスタートさせ、後にNASAの広報管理者、スミソニアン協会の国立航空宇宙博物館にも深く関わったジュリアン・シアー。
この絵本が子どものために書いた初めての作品だそうですが、その経歴を見てなんだか作品の内容にしっくりきました。
絵を描いたマーヴィン・ビレックは、メトロポリタン美術館やシカゴ美術館にも作品が展示され、子どものための本をたくさん手がけましたが、この作品でコールデコット・オナー賞を受賞しているんです。
まるですべてが一本のリボンで繋がっているようなちょっと不思議な線に、淡いパステルカラーが散りばめられ(特にピンクが印象的です)、どのページも細部まで楽しませてくれます。
雨降りの日、この雨を利用して部屋で童心に返って創作活動に耽ったり、あるいはゆっくり時間をかけてアップルソースづくりなんていうのも。傍にこんな本を置いておいてはいかがでしょうか。
「RAIN MAKES APPLESAUCE」Julian Scheer Marvin Bileck
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