「THE SNOW QUEEN」Andersen/Marcia Brown

記憶の中の暑い日を思い出してみても、その暑さはもう過ぎ去っていて、他の記憶のようには残っていないのは、温度を感じている部分が、ずっと言葉とは遠い場所にあるからでしょうか。

夏はその暑さよりも、生温い湿った風の匂いや、空気の重さをずっとよく覚えています。

少しでも涼しい本が良いな、と最近更新した本で手許にあったのはこちら「THE SNOW QUEEN」Andersen/Marcia Brown(1972年/未翻訳)です。

アンデルセン童話の中でも有名なお話なので、読んだことのある方も多いのではないでしょうか?あのディズニー映画の「アナと雪の女王」の原作、と言ってしまうと大分お話は違うので語弊があると思いますが、そのアイデアのひとつにもなっている物語です。

悪魔と、雪の女王と、二人の男の子と女の子の、ファンタジーと冒険の物語。個人的にはとてもアンデルセンらしい物語だと思います。言い換えればそれはアンデルセンの魅力が充分に詰まった物語、とも言えるのではないでしょうか。

絵を描いているマーシャ・ブラウンは作品ごとに使う技法を大きく変えるのでその作風も作品ごとに大きく異なります。

この作品でもまた違ったマーシャ・ブラウンの表現があり、彼女の代表作「三びきのやぎのがらがらどん」や「ちいさなヒッポ」でその名前を記憶している方には驚きがあるのではないでしょうか。

この絵本は調べてみると技法は「pen and ink」(所謂ペン画)となっていました。モノクロなので、少し物足りないと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、この技法だからこその、美しい絵、特に雪の女王の城の絵などはすごい迫力で、ページをめくる読者を楽しませてくれます。

そしてなによりこのお話で、ペン画というのはやはり涼しさがありますね。


週末には真夏日になる所も多いとのこと、どうか皆さんもお身体にお気を付けください。


手許の在庫にバーナデット・ワッツの「雪の女王」(日本語版)もございましたので、オンラインストアでは一緒に並べさせて頂きます。


当店のマーシャ・ブラウンの本はこちらです。

0コメント

  • 1000 / 1000