バーナデット・ワッツの絵本を先日2冊更新しましたが、どちらも1985年版のもので、ワッツのイラストの変化が現れはじめる頃のものですね。
「Snow white」(白雪姫)と「Cinderella」(シンデレラ)の2冊で、白雪姫は日本語版も出ておりますので、馴染みのある方も多いかと思いますが、シンデレラは日本語版は出ておりませんので、初めて見る方も多いのではないでしょうか?
昔のワッツの作風がよく見て取れる作品で、代表作の一つと言っても良いのではないでしょうか。
人物の描き方、特に顔の描き方が後年のシンプルに可愛らしいものとは異なり、中央ヨーロッパ系の人を思わせるような、物憂げな瞳を描くのですね。
私にはそれが古い宗教画を思わせ、ワッツの作品に、ある独特な緊張感、静けさをもたらしていると感じるのです。
残念ながら、後年の作品からは、あまりそうしたものが感じられなくなってしまいます。
ワッツは多くの自分の作品を描き直していて、それはどういった理由からか、私は知らないのですけれど、描き直す前の作品のほうが、好きなものが多いんです。
実はあまり知られていませんが「Snow white」も描き直しがされていて、こちらの1985年版の絵本は描き直された後のものなんです。
恐らく自身の作品の描き直しを始めた最初期の作品だと考えられます。
もとは1971年に「Snow-White and the Seven Dwarfs」と言う題で、判型も横長の、全く違った版が存在しているのです。
この1985年の「Snow white」は描き直された後の作品、とは言っても、違った作風での描き直しを始めた初期のもので、昔の作風も感じられ、とても興味深いですね。
今回はちょっと、バーナデット・ワッツのことをよく知っている人向けの話になってしまいましたが、勿論どちらの絵本も素晴らしく、はじめてワッツの絵本に触れる方にも自信を持っておすすめできる2冊です。
当店のバーナデット・ワッツの絵本はこちらです。
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