「DieRosen」/「ROSES」Pierre-Joseph Redoute

ボタニカルアート/植物図譜というと、誰もが真っ先に挙げるのは、この画家の名前ではないでしょうか。

ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテ。

19世紀初頭に活躍したこの画家は、バラという、たったひとつの花の名前、それも何より高貴なこの花の名前とともに、人々の記憶にいつまでもとどまり続けています。

彼の代表作である「バラ図譜」はナポレオンの妻、ジョゼフィーヌがパトロンとなり、彼女の蒐集した世界中のバラをルドゥーテが描いたものでした。

畢生の大作となったこの作品の出版を待たずして、ジョゼフィーヌは亡くなってしまうのですが、彼女の死後もルドゥーテは制作を続け3巻にも及んだこの大作を完成させたのでした。

当店に入荷したこちらのバラ図譜「Die Rosen」(ドイツ語版)は先日紹介したBibliophilen Taschenbucherのシリーズの装丁を踏襲したものですが、ペーパーバックではなく、布装の、ボルドー色の美しいものです。

判型はBibliophilen Taschenbucherシリーズとほぼ同じ大きさで、大仰でもなく簡素でもなく、ひっそりとした静かな佇まいが、このバラ図譜のもつ本来の魅力を引き立てているように感じられます。

大きな画集で見るのも良いのですけれど、ルドゥーテの本はけばけばしいだけのあまり美しくない本が多く出てしまっている現代には、とても貴重な本だと思います。バラ図譜を手許に置くなら、この一冊をおすすめします。

この「Die Rosen」はバラ図譜の169枚の絵はすべて収録されておりますが、当店にもう一冊あるルドゥーテの「Roses」(フランス語/1963年版)と言う本は、もう少し大きな判型で、バラの絵が24枚のみ収録された本になっております。こちらも雰囲気のある、とても美しい本です。


当店のルドゥーテの本はこちらです。

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